炭化タングステン(読み)タンカタングステン

デジタル大辞泉 「炭化タングステン」の意味・読み・例文・類語

たんか‐タングステン〔タンクワ‐〕【炭化タングステン】

タングステン炭化物。化学式WCまたはW2C。前者灰色金属光沢があり、三方晶系または等軸晶系。高硬度で研磨剤や切削工具に用いられる。タングステンカーバイド

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化学辞典 第2版 「炭化タングステン」の解説

炭化タングステン
タンカタングステン
tungsten carbide

W2CとWCがある.【】炭化二タングステン(ditungsten carbide):W2C(379.69).WとCを H2 中または真空で強熱すると得られる.六方晶系.Wの六方最密充填配列の八面体サイトの半分にCが入る.灰色の結晶室温ではα型変態,2400 ℃ 以上ではβ型変態が安定である.(室温でβ型は準安定).融点約2800 ℃.モース硬さ9,密度17.15 g cm-3.HNO3,HFに不溶.Cl2 とは250 ℃ 以上で反応して,WCl6とCになる.F2 とは室温でも反応する.[CAS 12070-13-2]【】炭化タングステン(tungsten carbide):WC(195.85).H2 中で粉末状のCとWの混合物を加熱してつくる.室温で安定なα型と,高温で安定なβ型があるが,後者はC不足の不定比化合物になることもある.α型は三方晶系.β型は立方晶系の岩塩型構造.融点約2800 ℃.モース硬さ9.密度15.63 g cm-3.HF,HNO3に室温では難溶,加温すると可溶.F2 とは室温で,Cl2 とは400 ℃ 以上で反応する.薄膜は9.0 K で超伝導に転移する.超硬質なため,削岩機用ドリルの刃先,金属切断用,針金製造のダイスボールペンボール徹甲弾・弾頭被覆などに用いられる.[CAS 12070-12-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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