火薬類取締法(読み)カヤクルイトリシマリホウ

デジタル大辞泉 「火薬類取締法」の意味・読み・例文・類語

かやくるい‐とりしまりほう〔クワヤクルイとりしまりハフ〕【火薬類取締法】

火薬類製造販売許可制とするほか貯蔵運搬消費その他の取り扱いについて規制する法律。昭和25年(1950)施行

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改訂新版 世界大百科事典 「火薬類取締法」の意味・わかりやすい解説

火薬類取締法 (かやくるいとりしまりほう)

火薬類による災害を防止し,公共の安全を確保する目的の下に,火薬類の製造,販売,消費その他の取扱いの規制を定めた法律(1950公布)。第2次大戦前は,1899年の銃砲火薬類取締法の公布以来,銃砲および火薬類の取締りが同じ法律で一括して扱われていたが,本法の制定により,火薬類の規制は銃砲の規制から切り離され,本法の定めるところとなった。なお,銃砲に関しては,別に銃砲刀剣類所持等取締法(1958公布)が定められている。その後,1959年から翌年にかけての一連の爆発事故を契機として,本法の大幅改正が行われ(1960),規制の強化や事業者の自主的保安体制の確立が図られることとなった。本法の内容は,監督行政機関(通産大臣または知事)による規制と業者による自主的保安義務の二つに大別される。このうち,前者の中心をなすのは,火薬類の製造から廃棄に至るまでの各段階における火薬類取扱いの許可制である。たとえば,火薬類の製造事業を営もうとする者は,一定の要件(製造施設の構造・設備や製造方法が省令で定める技術上の基準に適合していること,製造業を適確に遂行するに足りる技術的能力があること,公共の安全の維持や災害の発生の防止に支障のないこと)の下で通産大臣の許可を受けなければならず,同大臣は,本法の規定に違反し災害を発生させた場合等には,許可を取り消しまたは事業の停止を命じることができるほか,無許可で製造の業を営んだ者には刑罰が科せられることになっている。火薬類の販売,貯蔵,譲渡・譲受,消費,廃棄についても同様の規定が置かれている。次に,後者については,製造業者,販売業者等に対して,危害予防規程や従業者に対する保安教育計画の策定,火薬類製造(または取扱)保安責任者の設置,保安検査および定期自主検査の実施等,業者による自主的保安義務を定めている。ちなみに,業界による自主的保安活動の強化のために全国火薬類保安協会(社団法人)が設置されている。以上のほか,本法には,通産大臣,知事,都道府県公安委員会の立入検査,緊急時における緊急措置等が定められている。

 なお,本法に関係ある法令として,事業所における労働者の労働条件を定める労働基準法,労働安全衛生法,火災予防の見地から特定の火薬類を危険物としてその製造,貯蔵,取扱い等を規制する消防法,鉱山における火薬類の運搬・消費等を定める鉱山保安法,火薬類の道路上の運搬に際して適用される道路交通法,事業活動の調整および公共の安全の確保の見地から武器および猟銃等の製造・販売等の規制等を定める武器等製造法(1953公布),自衛隊の火薬類の取扱いを定める自衛隊法等がある。また,爆発物取締罰則(1884公布の太政官布告)は,治安を妨げ,または身体財産を害する目的をもって爆発物を使用,製造,輸入,所持した者に対する刑罰を定めている。
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百科事典マイペディア 「火薬類取締法」の意味・わかりやすい解説

火薬類取締法【かやくるいとりしまりほう】

火薬類の製造,販売,貯蔵,運搬,消費等の取扱を規制することにより,災害を防止し,公共の安全を確保することを目的とする法律(1950年)。従前の銃砲火薬類取締法(1899年)に代わるもの。1960年大改正。
→関連項目火薬火薬庫花火

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火薬類取締法」の意味・わかりやすい解説

火薬類取締法
かやくるいとりしまりほう

昭和 25年法律 149号。火薬類の製造,販売業を許可制にし,火薬類の貯蔵を火薬庫で行わせるなど,火薬類の製造,販売,貯蔵,運搬,消費その他の取扱いを規制する法律。火薬類による災害を防止し,公共の安全を確保することを目的とする。従来の銃砲火薬類取締法 (明治 43年法律 53号) に代るもの。

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世界大百科事典(旧版)内の火薬類取締法の言及

【銃砲刀剣類所持等取締法】より

…銃刀法と略称。銃砲,火薬類の製造,販売などの取締りについては,かつては,銃砲火薬類取締法(1910公布)があった。第2次大戦後,占領軍は,日本非武装化の徹底策の一つとして,銃砲等所持禁止令(1946公布)により,鉄砲,刀剣類,火薬類の所持を厳しく制限した。…

※「火薬類取締法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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