火船(読み)カセン

デジタル大辞泉 「火船」の意味・読み・例文・類語

か‐せん〔クワ‐〕【火船】

昔、敵船を焼き打ちにするため、わらや薪などを積んで火をつけ、風上から流した船やいかだ。
火輪船かりんせん」に同じ。

ひ‐ぶね【火船】

戦国時代船戦ふないくさで、敵船を火攻めにするため火のついた薪・わらなどを積んで、風上から流した船。
昔、夜間網漁を行う際、魚を集めるために火をたいた船。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「火船」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぶね【火船】

〘名〙
① 戦国時代の水軍が用いたもので、焼草などを積んで火をつけ、風上より流して敵の船隊を火攻めにする船。焼船。焼草船
※合武三島流舟戦要法(1795)営船「火船を順風仕掛焼討にもすべし」
② 数艘が一組で夜間に網漁を行なう際、火をたく船。〔日葡辞書(1603‐04)〕
蒸気船のこと。かせん。火輪船。〔和英語林集成再版)(1872)〕

か‐せん クヮ‥【火船】

〘名〙
① 火をつけた船。船やいかだに、わら、木などを積みこんで火をつけ、風上から敵船団に向けて放す。〔魏書‐孝荘紀〕
※海外異聞(1844)五「火船というものあり〈略〉船の両脇に鉄の大なる車有。船中機関ありて、大に火を焚くに湯沸騰り、其からくりに触て外の車を動し、水を掻きて船を進ましむ」

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世界大百科事典(旧版)内の火船の言及

【海戦】より

…ポートランド沖海戦(1653)ではオランダ艦隊の前路を丁字型に抑えるいわゆる丁字戦法をとったイギリス艦隊が勝利をおさめ,北海南部の4日間継続海戦(1666)では風潮をじょうずに利用し適切な戦術運動をしたオランダ軍がイギリス軍に勝利した。スコーネウェルト海戦(1673)でも火船(可燃物を満載した小型船に火をつけ,敵艦の結集している港内へ放す)と風を利用し戦術運動に優れたオランダ軍がイギリス・フランス軍に勝利した。イギリス海軍は1703年艦隊戦術運動の規範を制定した。…

※「火船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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