火祭[那智](読み)ひまつり[なち]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火祭[那智]」の意味・わかりやすい解説

火祭[那智]
ひまつり[なち]

和歌山県那智勝浦町熊野那智大社(→熊野三山)で 7月14日に行なわれる祭り。扇祭ともいう。まず本社で那智田楽(国指定重要無形民俗文化財)と,ウシの頭や農具を持って田唄とともに田をめぐる所作をする御田植式が行なわれ,扇神輿の渡御となる。扇神輿は幅 1m,高さ 6mほどの板に,扇と白銅鏡を組み合わせた飾りを 8ヵ所取り付けたもので,那智滝(お滝本)に見立てたとされる。12体の扇神輿は本社から飛瀧神社(ひろうじんじゃ)としてまつられているお滝本へ向かう。一方,お滝本からは 12体の大松明が繰り出され,石段を上り下りしながら,本社から下りて来る扇神輿を迎え清める。八咫烏を模した烏帽をかぶった宮司が神輿の白銅鏡を「打松」で打ちつける扇褒めのあと,滝前に滝を背にして扇神輿が並べられる。お滝本では,田刈唄とともに田をめぐる所作をする田刈式などが行なわれ,還御となる。2012年那智の田楽が世界無形遺産に登録された。

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