火消壺(読み)ひけしつぼ

精選版 日本国語大辞典 「火消壺」の意味・読み・例文・類語

ひけし‐つぼ【火消壺】

〘名〙
炭火や薪(たきぎ)が燃えて炭火のようになったものを入れ、密閉して消すための壺。けしつぼ。からげしつぼ。
雑俳・前句付譏草(1714)「あふ恋の床はおもひの火消壺
② (情火を消す壺の意から) 女陰異称
※雑俳・柳多留‐八六(1825)「火けしつぼ水を入たでよって泣き」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火消壺」の意味・わかりやすい解説

火消壺
ひけしつぼ

かまどいろりのそばに置き、中にもえさしの木やおき火を入れて蓋(ふた)を閉め、空気を遮断することによって火を消し、あるいは消炭(けしずみ)をつくる壺。消壺ともいう。関西では空消(からげし)壺ともいう。これは水消しと空消しの二通り方法があったことによる。瓦(かわら)製が多いが、鉄などの鋳物製もある。消炭は軟らかくて火つきがよく、七輪火鉢で炭をおこすときなどに便利である。しかし第二次世界大戦後は燃料ガスや電気、石油などに変わり、消炭をつくることも使うことも少なくなったため、火消壺も姿を消しつつある。

小泉和子

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