火元入寺(読み)ひもといりでら

世界大百科事典(旧版)内の火元入寺の言及

【アジール】より

…織田信長や豊臣秀吉もアジール廃止の方針をとり,徳川氏もこれを踏襲し,幕府は1665年(寛文5)の諸宗寺院法度によって寺院アジールを完全に否定したのである。 江戸時代,アジールはわずかに縁切寺と火元入寺の制にその名ごりをとどめた。縁切寺としては鎌倉の東慶寺と上州世良田の満徳寺の二寺のみが黙許されていたが,東慶寺は江戸時代の中期にも助命嘆願の女性を救済した例がある。…

【駆込】より

…また奥州の守山藩では罪を犯した百姓たちが,その菩提寺などに駆け入り,〈寺抱え〉となることによって藩の処罰をうけずにすむ慣行が存在していた。このほかに,過失から出火をなした者が付近の寺院に入って謹慎した(〈火元入寺〉と称する)のも駆込の一種とみられる。駆込慣行はまた武家の屋敷をも対象にしてなされており,離縁を求める女性が武家屋敷に駆け込んで希望をかなえるもの,主人の手討ち成敗から逃げ出した下僕が他家の屋敷に駆け込んで保護を求めるもの,そしてけんか闘争から他人を討ち果たした武士が近辺の武家屋敷に駆け込んで保護を求めた場合,屋敷の主は責任をもって追捕の手からこの者を守らねばならず,安全なときに安全な場所に落ち延びさせるという慣行が江戸時代を通じて広く行われていた。…

※「火元入寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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