濫觴(読み)ランショウ

デジタル大辞泉 「濫觴」の意味・読み・例文・類語

らん‐しょう〔‐シヤウ〕【濫×觴】

揚子江のような大河も源はさかずきうかべるほどの細流にすぎないという「荀子子道にみえる孔子言葉から》物事の起こり。始まり。起源。「わたくし小説の濫觴と目される作品」
[類語]始め始まり起こりもと発端ほったん端緒嚆矢こうし権輿けんよ起源根源源流本元物種温床源泉糸口とば口取っ掛かり手掛かり足掛かり道を付けるまず最初第一一次原初手始め事始め優先一番しょぱないの一番真っ先先立ち先頭当初初期初頭始期早期劈頭へきとう冒頭出出でだ滑り出し初手出端ではなはなはし口開け取っ付きあたまのっけスタート取り敢えず差し当たりひとまず当座序の口皮切り第一歩第一声始まる始めるトップ初発開始幕開き開幕立ち上がり口切り最優先何をおいても何はさておき何はともあれ口火を切る先ず以て

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精選版 日本国語大辞典 「濫觴」の意味・読み・例文・類語

らん‐しょう ‥シャウ【濫觴】

〘名〙 (「荀子‐子道」および「孔子家語‐三恕」に見える、孔子が子路を戒めたことば「昔者江出於岷山、其始出也、其源可以濫一レ觴」の、揚子江も源にさかのぼれば、觴(さかずき)を濫(うか)べるほどの細流であったとの意から。一説に、「濫」はあふれる意で、さかずきをあふれさせるほどのわずかな水流をいうとも) 細い流れ。流れの源。転じて、物事の始まり。起源。起こり。もと。
※三教指帰(797頃)下「夫挙鰭濫觴、曾無千里之鯤、翥何能知九万之鵬
御伽草子鴉鷺合戦物語(室町中)「都に希代の合戦侍り。そのらんしゃうをたづぬるに鴉鷺(あろ)のくゎくしうとぞうけ給る」 〔虞世南‐琵琶賦〕

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故事成語を知る辞典 「濫觴」の解説

濫觴

ものごとの始まりや起源を指すことば。

[使用例] それまでの日本にはほこはあったが、槍はなかった、槍は九州の菊池党がつかい出したのが濫觴であるというのである[吉川英治*私本太平記|1958~62]

[由来] 「荀子―子道」に引用されている、孔子のことばから。立派な服装をして得意になっている弟子に対して、孔子は、こんなたとえ話をします。「黄河も『の源はもっさかずきうかぶべし(源流は、杯がやっと浮かべられる程度の小さな流れである)』だが、海に出るころには、風の状態がいい時に船を使うのでなければ渡れないくらい、大きな流れになる。それは、流れ下りながら多くの川の水を受け入れるからだ」。そして、続けて「そんないかめしい格好をしていると、だれも助言をしてくれなくなるぞ」と、黄河の流れにたとえて、他人の忠告を受け入れることの大切さを教えたのでした。なお、「濫觴」を「觴よりあふる(杯からやっとあふれる程度の小さな流れ)」だとする解釈もあります。

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普及版 字通 「濫觴」の読み・字形・画数・意味

【濫觴】らんしよう(しやう)

杯を浮かべるほどの小さな流れ。もののはじめ。〔子、子道〕昔(むかし)、江は山(びんざん)より出づ。其の初めて出づるや、其の源は以て觴を濫(うか)ぶべし。

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