日本大百科全書(ニッポニカ) 「潮音」の意味・わかりやすい解説
潮音
ちょうおん
短歌雑誌。1915年(大正4)太田水穂(みずほ)を主宰として創刊。水穂の歌論『短歌立言』(1921)に代表される理想主義的傾向の強い主張により、良寛(りょうかん)、芭蕉(ばしょう)、『新古今和歌集』に沈潜するにつれ、大正末から昭和初頭にかけて、万葉調写生主義、無産派短歌に対立し、日本的象徴主義を標榜(ひょうぼう)するに至った。第二次世界大戦後は新人の台頭もあり、西欧的象徴手法その他をも顧慮して、人事、社会面への深化拡充と相まって多彩な詠風を示している。1955年(昭和30)水穂没後、四賀光子(しがみつこ)、太田青丘(せいきゅう)(1909―1996)、太田絢子(あやこ)(1916―2009)、木村雅子(1948― )が引き継いだ。小田観蛍(かんけい)(1886―1973)、峯村国一(みねむらくにいち)(1888―1977)、葛原妙子(くずはらたえこ)、中城(なかじょう)ふみ子らを輩出。
[太田青丘]
『太田青丘著『太田水穂と潮音の流れ』(1979・短歌新聞社)』▽『『潮音83巻11号 太田青丘追悼特輯』(1997・潮音社)』▽『伊東悦子著『潮音短歌百人百首』(2001・短歌新聞社)』