潮垂・塩垂(読み)しおたれる

精選版 日本国語大辞典 「潮垂・塩垂」の意味・読み・例文・類語

しお‐た・れる しほ‥【潮垂・塩垂】

〘自ラ下一〙 しほた・る 〘自ラ下二〙
衣服などが潮水にぬれてしずくがたれる。また、雨や露・霜などにぬれる。
拾遺(1005‐07頃か)雑恋・一二四六「旧里をこふるたもともかはかぬに又しほたるるあまも有けり〈恵慶〉」
② 涙で袖がぬれる。また、嘆き悲しむ。心がひきたたないで沈みがちになる。
多武峰少将物語(10C中)「なにのうれしげもなくぞ、しほたれ給ひける」
斎宮忌み詞。泣く。
※大和(947‐957頃)一四六「帝ののしりあはれがり給(たま)て、御しほたれ給ふ」
④ (歴史的かなづかいは「しをたれる」か) みすぼらしくみじめな様子になる。汚れてよれよれになる。なえる。
※杜詩続翠抄(1439頃)二「花色もしをたれてみゆ也」
※浮世草子・元祿大平記(1702)二「形(なり)から品(ふり)からしほたれて、みるめかいなきあまごろも」
[補注]③については「亦種々の事忌定給き〈略〉鳴を塩垂と云」〔皇太神宮儀式帳〕、「凡忌詞哭称塩垂」〔延喜式‐五〕などの記述があるが、これは単に「泣く」ことではなく「人の死に際して泣く」場合に限られたようである。

しお‐たれ しほ‥【潮垂・塩垂】

〘名〙 泣くことをいう、斎宮の忌詞。
※皇太神宮儀式帳(804)「鳴を塩垂と云」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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