漸漸(読み)ぜんぜん

精選版 日本国語大辞典 「漸漸」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐ぜん【漸漸】

[1] 〘副〙 (「に」を伴って用いることもある) 順次に。段々と。徐々に。
※菅家文草(900頃)四・冬夜対月憶友人「山疑小雪微々積 水誤新氷漸々生」
※高野本平家(13C前)九「漸(ゼン)漸にかたきを滅して天下を治する事を得たりき」 〔楊允孚‐灤京雑詠詩〕
[2] 〘形動タリ〙
① 次第に進みいくさま。順をおってなされるさま。
太平記(14C後)三七「団扇(だんせん)天に隠れて、夕陽の影の裏(うち)に漸々(ゼンゼン)として消え去りぬ」
岩石の高峻なるさま。〔詩経小雅・漸漸之石〕
③ 涙が流れるさま。〔劉向‐九歎憂苦〕

やく‐やく【漸漸】

〘副〙 (「ようやく(漸)」の古形) 次第に。おもむろに。そろそろ。だんだん。
万葉(8C後)五・九〇四「しましくも 良けくはなしに 漸々(やくやくに) かたちくづほり」

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デジタル大辞泉 「漸漸」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐ぜん【漸漸】

[ト・タル][文][形動タリ]事が少しずつ進んでいくさま。
砦柵さいさくを構て、―と城下逼近ひっきんし」〈竜渓経国美談
[副]だんだんに。徐々に。
「―形勢を切迫させて来た」〈漱石・彼岸過迄〉
判断が―に訓練せられ」〈西田・善の研究

やく‐やく【漸】

[副]《「ようやく」の古形》だんだん。しだいに。
「しましくも良けくはなしに―に形くづほり」〈・九〇四〉

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普及版 字通 「漸漸」の読み・字形・画数・意味

【漸漸】ぜんぜん

徐々に。

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