漠漠(読み)ばくばく

精選版 日本国語大辞典 「漠漠」の意味・読み・例文・類語

ばく‐ばく【漠漠】

〘形動タリ〙
① 広々としてはてしのないさま。遠く遙かなさま。遙かに続くさま。
※本朝無題詩(1162‐64頃)四・春日遊覧〈藤原忠通〉「春花漠々鳥関々、細馬香衫聞也攀」
② 塵などがまい上がるさま。風などがわきおこるさま。煙、ガスなどがたちこめたりたなびいたりするさま。莫莫
※菅家文草(900頃)二・早春、侍宴仁寿殿、同賦春暖序「春之為気也、霏々焉、漠々焉」 〔杜甫‐秋日虁府詠懐百韻詩〕
③ ひっそりと静かであるさま。〔荀子‐解蔽〕
④ とりとめのないさま。ぼんやりとしたさま。うす暗いさま。
虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一四「『はあ、さうかい。そりゃあ』と漠々(バクバク)たる挨拶をした」 〔杜甫‐茅屋為秋風所破歌〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「漠漠」の意味・読み・例文・類語

ばく‐ばく【漠漠】

[ト・タル][文][形動タリ]
広々として果てしないさま。「漠漠たる荒野」
ぼんやりとしているさま。とりとめのないさま。「空々漠漠
「―たる挨拶をした」〈漱石虞美人草
[類語](1空漠だだっ広い蒼茫広やか広い広大広壮広漠広広広範広闊こうかつ開豁かいかつ茫漠茫茫渺茫びょうぼう茫洋洋洋幅広はばびろワイド広角渺渺びょうびょう豁然かつぜん広域空闊くうかつ浩浩広大無辺無辺無辺際一望千里果てし無い手広い/(2不確か曖昧曖昧模糊うやむやあやふや漠然おぼろげ不鮮明不明瞭ファジー煮え切らないどっちつかず要領を得ない雲を掴むなんとなくなんだかそこはかとないほんのりなんとはなしどことなくそれとなしに心なしなにかしら思いなしかほのかぼけっと朦朧もうろうぼやけるもやもや模糊茫乎ぼうこぼうっと茫茫ぼうぼう茫漠ぼうばく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「漠漠」の読み・字形・画数・意味

【漠漠】ばくばく

静かな、安らかな、広やかな、たちこめる、さかんなさまをいう。唐・杜甫〔諷録事の宅に、曹将軍覇の画ける馬の図を観る歌〕詩 此れ皆騎戰、一もてす 縞素(かうそ)(白い絵絹)として、風沙開く

字通「漠」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android