滑腔砲(読み)かっこうほう(英語表記)smooth bore

精選版 日本国語大辞典 「滑腔砲」の意味・読み・例文・類語

かっこう‐ほう クヮッカウハウ【滑腔砲】

〘名〙 砲身内面腔線がなく、内面の滑らかな砲。

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デジタル大辞泉 「滑腔砲」の意味・読み・例文・類語

かっこう‐ほう〔クワツカウハウ〕【滑×腔砲】

砲身の内面に、砲弾回転させる溝が刻まれていない砲。→施条砲

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改訂新版 世界大百科事典 「滑腔砲」の意味・わかりやすい解説

滑腔砲 (かっこうほう)
smooth bore

砲身の施線部に相当する部分が滑らかな火砲。火砲が出現してから19世紀までは砲身内面は滑らかで,球状弾丸を発射する構造であった。19世紀になり砲身内面に腔線を刻み,シイの実状の弾丸を回転運動させて弾道安定させ,射距離および精度を向上させる技術が開発されて以来,大半の火砲は施線砲身になった。近年,主力戦車の搭載主火砲に滑腔砲を使用するものが出現し今後多用される趨勢(すうせい)にある。滑腔砲の構造は,滑腔砲身を除き,現用の火砲と同じである。戦車用の火砲として滑腔砲が多用される契機となったのは,翼安定式装弾筒付徹甲弾(APDSFS弾)を発射するためである。APDSFS弾は,矢状の翼で弾道を安定する方法をとっている非常に細長い弾丸であるために,滑腔砲身で発射する必要が生じた。APDSFS弾は,現用の戦車砲弾より,射程および装甲貫徹力の面で優れている。第2次世界大戦中に,ドイツが列車砲に滑腔砲身をつけて矢型弾を使用し,長射程砲として威力を発揮した。戦後は,1960年代の初期に出現したソ連のT62型戦車の115mm滑腔砲が最初である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「滑腔砲」の意味・わかりやすい解説

滑腔砲
かっこうほう
smooth bore gun

施条されていない(ライフルのない)砲。現代戦車砲主流をなす。従来の戦車砲は弾道安定のため砲の内側にライフルを刻んで砲弾に回転を与えていた。しかしこの回転が砲弾発射時の抵抗を生み,また徹甲弾(→装甲貫徹弾)や成形炸薬弾の威力をそこなうため,ライフルをなくして砲弾が回転しないようにしたのが滑腔砲である。弾道の安定のため砲弾に安定翼をつけている。

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