滑床渓谷(読み)なめとこけいこく

日本歴史地名大系 「滑床渓谷」の解説

滑床渓谷
なめとこけいこく

[現在地名]宇和島市滑床

鬼が城おにがじよう(一一五一メートル)の東斜面、北宇和郡松野まつの町境の滑床にある渓谷。足摺宇和海あしずりうわかい国立公園に属し、滑床自然休養林となっている。地盤は高月たかつき花崗岩地層からなり、風化剥脱によって岩盤を現し、特色のある岩峰が形成されている。滑床川は鬼が城山に発し、東流して滑床渓谷をつくり、南に転じて目黒めぐろ川となり、高知県に出て四万十しまんと川に流入する。滑谷入口から鳥居とりい岩・きりが滝・象頭岩・雪輪滝ゆきわのたき・大鼓岩・千畳敷・三のなめり鼓岩・奥千畳と連なり、途中小瀑・深淵も続く。

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改訂新版 世界大百科事典 「滑床渓谷」の意味・わかりやすい解説

滑床渓谷 (なめとこけいこく)

愛媛県宇和島市と北宇和郡松野町にわたる滑床川(目黒川)の渓谷。長さ約12kmに及び,ほぼ全域が花コウ岩からなる。一枚岩巨岩や,河床全体が平滑岩肌となっているナメリ床,その岩上を滑るように流下するナメリ滝などがみられ,なかでも雪輪の滝は幅20m,こう配35度,長さ80mに及び,雪輪のような波紋を描いて流れ落ちる。周囲の原生林には暖帯性植物などが繁茂する。餌づけされた野猿のほか,イノシシシカなども生息する。滑床の万年橋のたもとには,1839年(天保10)宇和島から梅ヶ成(うめがなる),滑床を越えて目黒に通ずる林道が開通したのを記念する碑がある。足摺宇和海国立公園に含まれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「滑床渓谷」の意味・わかりやすい解説

滑床渓谷
なめとこけいこく

愛媛県南西部,四万十川の支流目黒川の渓谷。宇和島市東部から松野町に続く。鬼ヶ城山 (1151m) ,高月山 (1229m) など 1000mをこえる山に囲まれた秘境黒雲母花崗岩の河床を早瀬となって落ちるナメリ滝が美しい。霧ヶ滝,象頭岩,太鼓岩の奇岩,滝,深淵が続き,自然林にも富む。雪輪の滝が探勝の中心。 1960年県立自然公園に指定されたが,1972年からは足摺宇和海国立公園に属する。 JR予土線松丸駅からバスが通じる。

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百科事典マイペディア 「滑床渓谷」の意味・わかりやすい解説

滑床渓谷【なめとこけいこく】

愛媛県南部,四万十(しまんと)川の支流目黒川の渓谷。宇和島市に属し,長さ約12km。黒雲母花コウ岩のなめらかな岩盤の川床を水流が走り,淵,滝が多い。予讃線宇和島駅からバス。
→関連項目足摺宇和海国立公園宇和島[市]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「滑床渓谷」の意味・わかりやすい解説

滑床渓谷
なめとこけいこく

愛媛県南部、宇和島市と北宇和郡松野町にまたがる渓谷。鬼ヶ城(おにがじょう)山(1151メートル)東麓(とうろく)に発する目黒(めぐろ)川(四万十(しまんと)川支流)の上流部にあたり、900~300メートルの標高差で12キロメートルにわたる。中生代四万十層群に黒雲母花崗(くろうんもかこう)岩が貫入し、深淵(しんえん)や布状に流水が落下するなめり滝などをつくる。原生林の中を霧が滝、千畳敷、三のなめり、奥千畳、雪輪の滝などが連続する。ホテルやキャンプ場もある。

[深石一夫]


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