溶湯鍛造(読み)ようとうたんぞう(英語表記)forging cast process

改訂新版 世界大百科事典 「溶湯鍛造」の意味・わかりやすい解説

溶湯鍛造 (ようとうたんぞう)
forging cast process

溶融金属が凝固する際に引け巣気泡が発生するのを,凝固と同時に鍛造することによって防止する方法高圧凝固鋳造法,半融鍛造法とも呼ばれる。鋳型内に注入された金属が完全に溶けている状態(液相)あるいは半溶融状態(液相と固相が共存)で,プレスによる機械的高圧力を加えて製品を成形し,凝固が完了するまで加圧を続ける。この方法によって機械的性質がすぐれ,寸法精度のよい,緻密な鋳肌の製品を歩留りよく製造できる。1930年代にソ連において研究が開始された方法で,軽合金銅合金,一部の鉄鋼にも適用されており,現在は大型軽合金部品,耐圧青銅部品,フランジ鋳物などの生産に使用され,将来さらに発展すると期待されている。現在使用されている方法は次の三つに分類できる(図)。(1)プランジャー加圧凝固法は溶湯面に直接高圧をかける方法で,加圧の際に鋳型内溶湯の移動がなく,単純厚肉製品の製造に適する。(2)直接押込溶湯鍛造法は溶湯がパンチを押し込むことによって押し上げられて成形される。単純な薄肉製品の生産に適し高密度な製品が得られるが,鋳型内溶湯の移動を伴い,一定量の溶湯を注入することが重要である。(3)間接押込溶湯鍛造法は別個に設けた鋳型に溶湯を押し込む方法で,溶湯注入量を一定にする必要はないが,加圧効果は他の方法より小さく,多数小物の製造に適する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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