精選版 日本国語大辞典 「溝」の意味・読み・例文・類語
みぞ【溝】
〘名〙
① 地を細長く掘って水を通す所。
※書紀(720)斉明四年一一月(北野本訓)「長(とほ)く渠水(ミソ)を穿(ほ)りて」
※伊勢物語(10C前)七八「ある人の御曹司の前のみぞに」
② 戸・障子を通すために、敷居・かもいに掘ったくぼんだ筋。また一般に、細長くくぼんだ条線。〔五国対照兵語字書(1881)〕
※自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉自然に対する五分時「山面山腹の襞溝(ミゾ)に生ひたる
の類は」

③ 鼻の下と上唇との間のくぼんだところ。鼻溝(はなみぞ)。人中(にんちゅう)。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
④ (比喩的に) 人と人の間にあるへだて。かかわり合う二つのものの間に生じた考え方や感情のへだたり。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三「伯父は彼等を俗物視し、彼等は伯父を少狂視して、其間自ら渉り難き溝があったのだ」
せせなぎ【溝】
〘名〙 (古くは「せせなき」か)
① どぶ。溝。下水。流し元の小溝。せせなげ。〔観智院本名義抄(1241)〕
※俳諧・犬子集(1633)一七「白き物こそ黒くなりけれ せせなきに米かす水や捨ぬらん〈貞徳〉」
② 便所。
※塵芥(1510‐50頃)「
セセナキ、雪隠・東司」

③ =せせらぎ〔字鏡集(1245)〕
こう【溝】
〘名〙 ほりわり。ほり。みぞ。〔春秋左伝‐哀公九年〕
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