源太(読み)げんた

精選版 日本国語大辞典 「源太」の意味・読み・例文・類語

げんた【源太】

〘名〙 文楽人形かしらの一つ。「ひらがな盛衰記」の梶原源太景季からの名称で、二〇歳前後の二枚目のやつし立役を性根とする。目の動きがなく描き眉が原則。みずみずしい色気と気品をそなえたかしらで、「菅原伝授手習鑑」の桜丸、「冥途飛脚」の忠兵衛など、時代物世話物ともに広く用いられる。
※楽屋図会拾遺(1802)下「源太(ゲンタ) 時代やつしなり。其数多し」

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デジタル大辞泉 「源太」の意味・読み・例文・類語

げんた【源太】

文楽人形かしらの一。「ひらかな盛衰記」の梶原源太からついた名称で、時代物世話物を問わず、20歳前後の二枚目役に用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「源太」の意味・わかりやすい解説

源太 (げんだ)

歌舞伎舞踊。常磐津節。1808年(文化5)11月江戸森田座初演。七変化所作事《倭仮名色七文字(やまとがないろのななもじ)》の一曲。俗称《かぼちゃ源太》。演者は3世坂東三津五郎。作詞2世桜田治助。作曲3世岸沢古式部。浄瑠璃ひらかな盛衰記(せいすいき)》の〈神崎揚屋の段〉により趣向を得たもの。源氏の武将梶原源太を廓通いの美男子に仕立て,生田の森の合戦で箙(えびら)に梅花一枝をはさんで奮戦した物語から廓情緒に一変して梅ヶ枝との口説となる。ほかに上方舞に常磐津節をもとにした江戸歌による《箙源太》がある。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「源太」の解説

源太
(通称)
げんた

歌舞伎・浄瑠璃の外題
元の外題
折箙竹梅幸 など
初演
寛政7.11(江戸・都座)

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世界大百科事典(旧版)内の源太の言及

【人形浄瑠璃】より

…(6)2倍の大きさの人形が,36年豊竹座の《和田合戦女舞鶴》の板額の人形から。(7)立役人形の屛風手(〈数の子手〉ともいい,5本の指を革でつなぎ蝶番(ちようつがい)のように動かす)が,47年(延享4)豊竹座の《悪源太平治合戦》から。(8)耳の動く仕掛が,47年《義経千本桜》の狐忠信から。…

※「源太」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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