精選版 日本国語大辞典 「湯沐」の意味・読み・例文・類語
とう‐もく タウ‥【湯沐】
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古代,皇太子および中宮に対する資養のために諸国におかれた経済制度。令制では臣下に対する封戸(ふこ)と同様のものらしく,《延喜式》では〈東宮湯沐二千戸〉とみえ,令制では〈中宮湯沐二千戸〉がみえる。東宮の場合は,令制には〈東宮一年雑用料〉とあり,あるいは《延喜式》にみえるまでに制度的変遷があったのかもしれない。また《日本書紀》の壬申の乱に際しての記事の中に湯沐の役人の湯沐令(とうもくのうながし)がみえ,軍事指揮者のような側面もあるので,湯沐にはそのような兵の差発権などをもっていた可能性がある。またこの記事から,湯沐の制度は大宝令制施行以前に存在したことが明らかである。古くは名代・子代(なしろこしろ)等に系譜をひくもので,7世紀中葉に名代・子代が廃止されるにしたがって設定されたものと思われる。壬申の乱に際して活躍した湯沐令の場合は,大海人(おおあま)皇子への湯沐であったと思われ,湯沐令と皇子とのあいだには密接な関係が存在していたものといえる。
執筆者:鬼頭 清明
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