湧昇流(読み)ゆうしょうりゅう

精選版 日本国語大辞典 「湧昇流」の意味・読み・例文・類語

ゆうしょう‐りゅう ‥リウ【湧昇流】

〘名〙 海水深層から湧き上がってくる流れ。
※大滅亡(1974)〈田中光二〉三「沿岸およびその湧昇(ユウショウ)流域の、しかも深さ百メートルまでの海に」

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デジタル大辞泉 「湧昇流」の意味・読み・例文・類語

ゆうしょう‐りゅう〔‐リウ〕【湧昇流】

湧昇に伴ってできる海水の流れ。

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百科事典マイペディア 「湧昇流」の意味・わかりやすい解説

湧昇流【ゆうしょうりゅう】

海水の鉛直上方への運動。表層での海水の発散下層の海水で補おうとするため生ずる。北半球では風下に向かって左(南半球では右)に陸があると吹送流により表層水が沖に向かって運ばれ湧昇流が生ずる。低気圧も表層水の発散を起こすので湧昇流の原因となる。前者の例としては春〜夏のカリフォルニア沖,南アフリカ西岸沖,ペルー沖などが有名。栄養塩類光合成の可能な層まで運びプランクトンの生産を盛んにするので,その海域は好漁場となる。
→関連項目海流

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湧昇流」の意味・わかりやすい解説

湧昇流
ゆうしょうりゅう
upwelling

海水の上昇運動のこと。海水の湧昇によって深層の栄養塩類が表層付近に運ばれ,海が肥沃化される。海山や礁などの海底に凸部のあるところやカリフォルニアやペルーなどの沿岸が好漁場となっているのはこの湧昇流のためである。 (→沿岸湧昇 )  

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ダイビング用語集 「湧昇流」の解説

湧昇流

深海から水が湧きあがってくること。深海の水はきわめて滋養分に富んでいるため、これが起こる海域は生物の数も種類も豊か。

出典 ダイビング情報ポータルサイト『ダイブネット』ダイビング用語集について 情報

世界大百科事典(旧版)内の湧昇流の言及

【海】より

…基礎生産は,海水中の無機栄養塩を利用して行われるが,特にリン酸塩と硝酸塩の量によって生産量が左右される場合が多い。栄養塩の豊富な沿岸海域では,黒潮などの貧栄養海域と比べて,数倍も生産量が高く,海底の栄養塩が有光層に常に持ち上げられている湧昇流海域では,さらに高い生産量がある。海藻や海草による生産量は,1ha当り25~85tにもなり,浅い沿岸域や小湾では,基礎生産の3分の2以上がこれら海藻(海草)による場合も知られているが,一般の海域では,基礎生産の大部分は,植物プランクトンの光合成に負っている。…

【湧昇】より

…海の深い所から表層に上昇してくる流れ。湧昇流とも上昇流ともいう。 海水の運動は海流としてよく知られるように,水平方向に卓越していて,鉛直方向の流れはきわめて微弱(たかだか1日に1m程度)であり,またその海域も限られている。…

※「湧昇流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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