湖山池(読み)こやまいけ

精選版 日本国語大辞典 「湖山池」の意味・読み・例文・類語

こやま‐いけ【湖山池】

鳥取市西部にある潟湖。青島など七つの島がある。富栄養湖で、コイ、フナ、アマサギワカサギ)などがとれ、湖山長者の伝説がある。面積六・九平方キロメートル。

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デジタル大辞泉 「湖山池」の意味・読み・例文・類語

こやま‐いけ【湖山池】

鳥取県北東部の潟湖せきこ。湖山長者が扇で落日を招き帰して田植えをさせた罰で、田が一夜で湖になったという伝説がある。

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日本歴史地名大系 「湖山池」の解説

湖山池
こやまいけ

鳥取市の北西部にある海跡湖。周囲一四・七キロ、面積六・七平方キロ、東西三・六キロ、南北二・四キロで、一級河川千代川水系の支流湖山川の一部に含まれる。湖山川は南西の鳥取市と鹿野しかの町境毛無けなし山に源流を発し、北東流して当池に流入したのちさらに北東に流れて千代川河口付近に注ぐ。湖山川のほかに南西や南東から五河川が流入する。最大水深は七・五六メートル。縄文時代前期の海進時には鳥取平野は日本海が湾入しており当池一帯もその一部であったが、その後の海退と千代川の堆積作用および北部の砂丘の発達によって湾口の閉塞が進み、弥生時代にはほぼ現在の形状となったとされる。伝説によると当池の地はもとは湖山長者が所有する水田で、毎年人人を集めて一日で田植を行っていたが、ある年早く日が沈みかけたため金の扇で日を招き返して田植を終えた。しかしその罰で水田は一夜にして池となり、長者は没落したという。湖面にあお島・津生つぶ島・団子だんご島のほかいくつかの小規模な岩島があり、近世には湖中七島と通称された(「因幡志」など)寛文大図(倉田八幡宮蔵)には「小山池」とあって団子島が「のしま」と記されるほか、ちき島・藤島・ねこ島・島が描かれ、飯島は「水の底ニ有」と注記されている。豊富な漁業資源を有し、「因幡民談記」によると当池では冬に大鮒・小鮒が多くとれるほか鯰・鰻・イナが多く、鯉・白魚は昔は生息しなかったが近年多くなり、ほかに小鮎・ハゼ・ツツゴ・アマサギ・海老・鴨・鵜・獺・葦・菱を産物とする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湖山池」の意味・わかりやすい解説

湖山池
こやまいけ

鳥取県北東部、鳥取市街地西郊の潟湖(せきこ)。湖岸線延長約17キロメートル、面積6.9平方キロメートル、平均水深2.8メートル、最深部は北部の7メートルで年々浅化している。成因は後氷期の微高海面期にできた古鳥取海が、その後の海面低下期に進んだ千代(せんだい)川の埋積作用湖山砂丘の発達により埋め残されたものといい、潟湖には珍しい湖中の5島があって海島のおもかげを残す。富栄養湖で最近は海水の流入による塩分や生活汚水、肥料の流入による窒素、リンなどが増え、秋には増殖したアイモが沈積腐敗して硫化水素が発生する。コイ、フナ、アマサギ、ウナギなどの淡水魚に富み、「石がま」とよぶ岩組みの人工魚礁による寒中漁労が特色である。夕日を招き返して田植を終えたため、水田が一夜で湖となったという長者伝説がある。

[岩永 實]


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改訂新版 世界大百科事典 「湖山池」の意味・わかりやすい解説

湖山池 (こやまいけ)

鳥取市北端部の潟湖。北方の湖山砂丘によって日本海とへだてられ,湖山川により千代川河口部に排水される。面積6.8km2,周囲15km,最深部8.9m。縄文~古墳時代の遺物を出土する青島をはじめ,津生(つぶ)島,団子島,猫島など大小五つの島が散在する。富栄養湖でワカサギ,シラウオ,エビなどの漁獲が多く,池の西岸では全国的にも珍しい石釜漁業が見られる。近年,汚濁が進み,環境保全対策が講じられている。沈む太陽を呼び戻して田植を強行し,一夜にして美田が湖に変わったという湖山長者の伝説が残る。
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百科事典マイペディア 「湖山池」の意味・わかりやすい解説

湖山池【こやまいけ】

鳥取県鳥取市西部にある湖。標高0m,面積6.99km2。最深6.5m。千代(せんだい)川の堆積物と砂丘でできた潟湖(かたこ)で,湖中に小島が浮かび景色がよい。16世紀には籠伏という漁法が行われていたとされ,江戸時代には池廻り七浦による魚漁が盛んであった。ほぼ淡水の富栄養湖で,コイ,ドジョウ,ナマズ,ワカサギなどが生息,石釜漁業が行われる。
→関連項目千代川

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湖山池」の意味・わかりやすい解説

湖山池
こやまいけ

鳥取市西部,湖山砂丘の南にある潟湖。面積 7.0km2。周囲 18km。平均水深 2.8m。最大水深部は北岸付近で 6.3mの汽水湖。年々浅化している。湖中には縄文・弥生遺跡のある青島など7島が浮び,一帯はレクリエーションの地となっている。コイ,フナ,ウナギなどが多く,厳寒期には人工漁礁による「石釜漁」が行われる。近年水質の汚染が問題化している。

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