温暖高気圧(読み)おんだんこうきあつ

精選版 日本国語大辞典 「温暖高気圧」の意味・読み・例文・類語

おんだん‐こうきあつ ヲンダンカウキアツ【温暖高気圧】

〘名〙 中心付近の空気温度周囲よりも暖かい高気圧成層圏に冷たい空気がたまってできたもので、下の対流圏では、地上よりかなり高いところまで周囲よりも中の空気の方が暖かく、一般に停滞性の場合が多い。小笠原高気圧など。⇔寒冷高気圧

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デジタル大辞泉 「温暖高気圧」の意味・読み・例文・類語

おんだん‐こうきあつ〔ヲンダンカウキアツ〕【温暖高気圧】

気温が周囲より高い高気圧小笠原高気圧など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「温暖高気圧」の意味・わかりやすい解説

温暖高気圧
おんだんこうきあつ

ある同じ高度面(通常は海面高度面すなわち地表)で、周囲よりも気温の高い高気圧。一般には温暖高気圧はかなりの高さまで高温で、対流圏上部や成層圏で初めて周囲より気温が低くなる。上空のある面の気圧は、地表の気圧から、その面までの大気の重量分を差し引いたものであり、温暖部分は寒冷部分より軽いので上空に向かっての気圧の減り方は温暖部のほうが小さい。したがって温暖高気圧は、上空ほど周囲よりも気圧が高く、背の高い高気圧である。温暖部分では下降気流が卓越しており晴天が多い。亜熱帯高気圧小笠原(おがさわら)高気圧、北太平洋高気圧切離高気圧(せつりこうきあつ)は温暖高気圧である。対照的なものに寒冷高気圧がある。シベリア高気圧オホーツク海高気圧も、高層天気図でみると、構造的に温暖高気圧の部分がある。

[倉嶋 厚・青木 孝]

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改訂新版 世界大百科事典 「温暖高気圧」の意味・わかりやすい解説

温暖高気圧 (おんだんこうきあつ)
warm anticyclone

高気圧の一種。上部対流圏内での空気の集積がその成因で,大気の中層,4~6kmの間で極値をもつ広範な下降流を伴い,下層気流が発散している。この下降運動で空気が暖まり,周囲に比べて気圧が高いと同時に気温も高いので温暖高気圧と呼ばれる。この構造から高気圧性の循環や形態が上空でも明瞭で背が高いとも表現され,その移動速度はおそい。これらの特徴は低気圧のあとを追っていく移動性高気圧と対照的である。原則として温暖高気圧は温帯低気圧の南側の亜熱帯地方にあり,小笠原高気圧,アゾレス高気圧はその典型である。しかし時には高緯度地方に現れ,上層の気圧配置が通常と逆で,北方で気圧が高く,南方で低いことがある。この場合はほとんどブロッキング現象とともにおこり,高緯度地方に孤立した上空の高気圧はカットオフ高気圧とも呼ばれる。
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百科事典マイペディア 「温暖高気圧」の意味・わかりやすい解説

温暖高気圧【おんだんこうきあつ】

対流圏では気温が周囲より高く,成層圏では低くなっている高気圧。気圧の高い原因が高空にあるので上層天気図にも高気圧として現れる。背の高い高気圧ともいう。亜熱帯高気圧や切離(せつり)高気圧がこれに当たる。日本付近では小笠原高気圧。
→関連項目高気圧

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世界大百科事典(旧版)内の温暖高気圧の言及

【高気圧】より

…さらに地球的な大気大循環として赤道地帯で上昇した空気は,上空で北方へ(南半球では南方へ)移動して北緯30゜(南緯30゜)付近で集積し,ここでも沈降流と地表の気圧増加をもたらす。沈降する気流は断熱圧縮で昇温するので,力学的機構は高気圧の上空を周囲より暖かくする作用があり,温暖高気圧とも呼ばれる状態をつくる。暖かい気層内では高さによる気圧の減少率が小さく,温暖高気圧は上空でも気圧の高い状態を維持している。…

※「温暖高気圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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