温帯多雨気候(読み)おんたいたうきこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「温帯多雨気候」の意味・わかりやすい解説

温帯多雨気候
おんたいたうきこう

温帯気候のうち、乾期をもたず比較的湿潤気候温帯湿潤気候ともいう。ケッペン気候区分でのCf気候で、これはさらに、最暖月の月平均気温が22℃以上の温暖湿潤気候Cfa)と、22℃未満の西岸海洋性気候Cfb)に区分される。Cfa気候は日本大部分、アメリカ東部、オーストラリア東部、南アメリカのラ・プラタ河口付近などにみられ、気温の年較差がかなり大きい。Cfb気候は西ヨーロッパ、カナダ太平洋岸、ニュージーランドチリの一部などにみられる。一年中どの月も適度な雨に恵まれる温和な気候で、生産活動が活発で人口も多く、この地方に続く亜寒帯地方とともに、地球上における文化や経済の中心となっている。

[小林 望・福岡義隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「温帯多雨気候」の意味・わかりやすい解説

温帯多雨気候 (おんたいたうきこう)
temperate rainy climate

温帯気候区の一つで,年中適度の降雨があり,とくに夏のモンスーン(季節風)にかかわる台風,ハリケーンに伴う豪雨があるうえに,秋の長雨,冬のモンスーンによる降雪もあって,年降水量は1000mm以上である。したがって,温帯モンスーン気候とも称する。気温に関しては夏に高温(30℃以上)で,冬は比較的寒冷で年較差が大きく,四季の別がひじょうに明確である。おおよそ南・北緯度20°~40°の間の,主として大陸東岸に分布して,アジア大陸東岸側の日本や,合衆国中東部,オーストラリア南東部,アルゼンチンなどがこれに該当する。植生は一般に常緑広葉樹落葉広葉樹と針葉樹の混合林が分布するが,アルゼンチンの湿潤パンパや合衆国のプレーリー地帯には温帯長草草原も広く分布している。土壌としては,プレーリー土と肥沃な褐色森林土が分布している。農業や工業が高度に発達しており,人間の生活・活動に好適な気候で人口密度が高い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「温帯多雨気候」の意味・わかりやすい解説

温帯多雨気候【おんたいたうきこう】

温帯(暖)湿潤気候とも。一年中乾季の認められない温帯気候。日本,揚子江流域,地中海域を除くヨーロッパ,北米東側,オーストラリア南東部,ニュージーランドなど。温和で四季変化に富み農作物に適する。大陸東岸では夏の状態は熱帯に匹敵し,熱帯性作物の栽培が可能。→ケッペンの気候区分
→関連項目ヨーロッパ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「温帯多雨気候」の意味・わかりやすい解説

温帯多雨気候
おんたいたうきこう

温帯湿潤気候」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android