清水紫琴(読み)しみずしきん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「清水紫琴」の意味・わかりやすい解説

清水紫琴
しみずしきん
(1868―1933)

小説家。本名とよ。清水孫太郎貞幹の三女として岡山県に生まれる。1881年(明治14)京都府立第一高等女学校小学師範諸礼科卒業。85年民権家の代言人(弁護士)岡崎晴正(正晴との説もある)と結婚。奈良の大同団結運動に参加し女権拡張のために活躍した。89年岡崎と離別、上京して巌本善治(いわもとよしはる)主宰の女学雑誌社に入社。清水豊子のほか生野ふみ子、つゆ子などの名で探訪記などを執筆。91年作家としての処女作『こわれ指輪』を『女学雑誌』に発表し好評を博した。92年古在由直(こざいよしなお)(後の東大総長)と再婚。小説、随筆、感想などを諸誌に寄稿、強い人権意識に裏打ちされた作品が多い。99年『移民学園』以後絶筆。

[吉見周子]

『山口玲子著『泣いて愛する姉妹に告ぐ――古在紫琴の生涯』(1977・草土文化)』『『清水紫琴全集』全1巻(1983・草土文化)』


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改訂新版 世界大百科事典 「清水紫琴」の意味・わかりやすい解説

清水紫琴 (しみずしきん)
生没年:1868-1933(明治1-昭和8)

明治時代女流作家。漢学者清水貞幹の長女として岡山に生まれる。本名とよ。京都府立第一高等女学校卒。親の意志による結婚に破れ,1890年上京して《女学雑誌》の記者として健筆を振るい,自由民権運動に身を投じた。他方明治女学校作文を教え,《こわれ指輪》(1891)などの小説を書く。大井憲太郎と恋愛し男児をもうけるが別れる。92年,のちに東京帝大総長となる古在由直と再婚。被差別民を扱った《移民学園》(1899)以後筆を絶った。古在由重(哲学者)の母。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「清水紫琴」の解説

清水紫琴 しみず-しきん

1868-1933 明治時代の小説家。
慶応4年1月11日生まれ。古在由直(こざい-よしなお)の妻。古在由重の母。景山英子らと女権拡張運動に活躍。のち「女学雑誌」記者となる。明治24年「こわれ指環」で文壇に登場,「心の鬼」「したゆく水」などを発表。32年以後筆をたった。昭和8年7月31日死去。66歳。備前(岡山県)出身。京都府立第一高女卒。本名は古在とよ。

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