清帳(読み)せいちょう

精選版 日本国語大辞典 「清帳」の意味・読み・例文・類語

せい‐ちょう ‥チャウ【清帳】

〘名〙
江戸時代、清書された帳簿をいう。調製者より上司に提出され、公簿作成上の基本となる書類。
咄本・正直咄大鑑(1687)赤「屋敷へ万ふしんがたの御用をきく町人なれば、清帳(セイテウ)をかきけるに」
② 江戸時代、越後国(新潟県)蒲原郡地方で行なわれた人別改(にんべつあらため)のこと。〔全国民事慣例類集(司法省編)(1880)〕
③ (「清長」とも書く) 昔、大福帳や合羽(かっぱ)の地紙などに用いた楮(こうぞ)製のじょうぶな紙。土佐(高知県)・肥後(熊本県)・日向(宮崎県)・伊予(愛媛県)・石見(島根県)・筑後(福岡県)柳川など各所ですかれた。
⑤ 寄席芸人仲間で、歩合興行の際、地方(じかた)から太夫元へ示す清算帳。

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デジタル大辞泉 「清帳」の意味・読み・例文・類語

せい‐ちょう〔‐チヤウ〕【清帳】

江戸時代、清書して提出された公的な帳簿。
清帳紙」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「清帳」の意味・わかりやすい解説

清帳
せいちょう

江戸時代に、年貢米(ねんぐまい)を御蔵へ納入する際に諸入費を書き記した勘定帳や、検地の基礎となる項目を記入した帳簿(清野(せいの)帳ともいう)のこと。またこれに使用された紙もさすようになった。コウゾ(楮)を原料としたじょうぶな和紙で、のちに諸帳簿類のほか合羽(かっぱ)の地紙などにも用いられ、土佐(高知県)、石見(いわみ)(島根県)などが名産地であった。縦31センチメートル、横45センチメートルが標準で、48枚を1帖(じょう)、10帖を1束(そく)、10束を1丸(まる)とした。

[町田誠之]

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