深田久弥(読み)フカダキュウヤ

デジタル大辞泉 「深田久弥」の意味・読み・例文・類語

ふかだ‐きゅうや〔‐キウや〕【深田久弥】

[1903~1971]小説家登山家。石川の生まれ。小説あすならう」「津軽の野づら」などを発表、清新で牧歌的な作風を示した。また、「日本百名山」など山岳随筆でも活躍。→百名山

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「深田久弥」の意味・わかりやすい解説

深田久弥
ふかたきゅうや
(1903―1971)

作家、登山家。石川県大聖寺(だいしょうじ)町(現加賀市)に生まれる。東京帝国大学在学中の1926年(大正15)より3年間、改造社に勤務。『津軽の野づら』(1935)連作により文壇に登場、『鎌倉夫人』(1937)、『親友』(1943)、『知と愛』(1953)などを発表。一方、山岳紀行・随想生来の個性を発揮して『わが山山』(1934)、『山岳展望』(1937)などを刊行。第二次世界大戦後は名山巡礼の山旅を続けるとともに、ヒマラヤ登山の黄金時代と相まってヒマラヤ研究に没頭し、『日本百名山』(1964)、『ヒマラヤの高峰』(1964~65)を完成した。甲州茅(かや)ヶ岳の登山中に死去

[近藤信行]

『『深田久弥・山の文学全集』全12巻(1974~75・朝日新聞社)』『中島健蔵著『深田久弥』(『現代作家論』所収・1941・河出書房)』『高辻謙輔著『日本百名山と深田久弥』(2004・白山書房)』『大森久雄著『山の旅本の旅・登る歓び、読む愉しみ』(2007・平凡社)』

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百科事典マイペディア 「深田久弥」の意味・わかりやすい解説

深田久弥【ふかだきゅうや】

小説家,山岳紀行家。石川県生れ。東大哲学科中退。第9〜10次《新思潮》に参加,《文学同人小林秀雄らと《文学界》を創刊。《オロッコの娘》(1930年)で好評を得る。北国風土を背景にカリエスを病む津軽娘を清新な筆致で描いた《あすならう》(1932年)で地歩を築く(のち《津軽の野づら》に収録)。戦前から山岳紀行文を多く書き,ヒマラヤ,シルクロード研究でも知られる。1964年《日本百名山》で読売文学賞受賞。
→関連項目日本百名山

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改訂新版 世界大百科事典 「深田久弥」の意味・わかりやすい解説

深田久弥 (ふかだきゅうや)
生没年:1903-71(明治36-昭和46)

作家,登山家。石川県大聖寺生れ。東大哲学科在学中から《新思想》《文学》同人となり,1930年《文芸春秋》に発表した《オロッコの娘》で小説家としての地位を確立,大学は中退した。一方,小学生のときから親しんだ登山に第一高等学校在学中本格的に取り組み,第2次大戦後の58年にはジュガール・ヒマール探査,66年シルクロード学術踏査など内外を旅行し,優れた随筆紀行を著した。《日本百名山》(1964)は読売文学賞を受賞し,《ヒマラヤの高峰》は日本人のヒマラヤ登山の必読書となった。71年山梨県の茅ヶ岳登山中脳出血で急死,ヒマラヤ関係の蔵書は国立国会図書館に移蔵された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「深田久弥」の意味・わかりやすい解説

深田久弥
ふかだきゅうや

[生]1903.3.11. 石川,大聖寺
[没]1971.3.21. 山梨,茅ヶ岳
小説家。 1930年東京大学哲学科中退。在学中,福田清人らと第9次,第 10次『新思潮』を創刊,『イエスの弟子』 (1929) ,『オロッコの娘』 (30) を経て『あすならう』 (32) で認められた。 34年『青猪』『津軽の野づら』の2作品集で風土色豊かな地方主義文学を確立。登山家,特にヒマラヤ研究家としても著名で,『日本百名山』 (64) ,『ヒマラヤの高峰』 (64~65) などの著がある。 68年日本山岳会副会長。登山中に没した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「深田久弥」の解説

深田久弥 ふかだ-きゅうや

1903-1971 昭和時代の小説家,山岳紀行家。
明治36年3月11日生まれ。昭和5年「オロッコの娘」で作家生活にはいる。8年小林秀雄らと「文学界」を創刊。のちヒマラヤ研究,山岳紀行に力をそそぐ。全国各地の山にのぼり,39年「日本百名山」を刊行,百名山ブームのきっかけをつくった。昭和46年3月21日山梨県茅ケ岳(かやがたけ)登山中に急死。68歳。石川県出身。東京帝大中退。著作に「ヒマラヤの高峰」など。

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