淡水藻(読み)たんすいそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「淡水藻」の意味・わかりやすい解説

淡水藻
たんすいそう

海藻に対する語。淡水の河川、湖沼、湿地、水たまりに生育する藻類のほか、樹幹、岩石、土壌、コケなどの多少とも湿気のある所に生える気生藻、氷や雪の上に生える氷雪藻、温泉に生える温泉藻、さらには、動物(サンゴやミドリゾウリムシ)、植物(アカウキクサ)、菌類、地衣類と共生している共生藻などが含められる。このように淡水藻の生育する環境には大きな差異がみられるが、それぞれの環境には、そこに適応した種類がみられるのが普通である。褐藻類紅藻類はおもに海産で、淡水にはごく限られた種類がみられるのみであるが、緑藻類、珪藻(けいそう)類などは両方に産し、ミドリムシ類は淡水産である。

小林 弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「淡水藻」の意味・わかりやすい解説

淡水藻
たんすいそう
freshwater algae

海藻に対して淡水に産する藻類をいう。アオミドロカワノリ,ツヅミモ,ノストックなどがある。分類群としては藍藻緑藻,ミドリムシなどが中心であるが,明確に分類と対応する呼称ではない。

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精選版 日本国語大辞典 「淡水藻」の意味・読み・例文・類語

たんすい‐そう ‥サウ【淡水藻】

〘名〙 藻類のうち、淡水に生育するもの。ジュズモ、ユレモなどの藍藻植物、アオミドロ、マリモ、シャジクモなどの緑藻植物、珪藻類など。〔生物学語彙(1884)〕

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デジタル大辞泉 「淡水藻」の意味・読み・例文・類語

たんすい‐そう〔‐サウ〕【淡水藻】

淡水に生育する藻類。アオミドロなどの緑藻、スイゼンジノリなどの藍藻らんそうカワモズクなどの紅藻珪藻けいそうなど。海藻に対していう。

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世界大百科事典 第2版 「淡水藻」の意味・わかりやすい解説

たんすいそう【淡水藻 fresh‐water algae】

海に生育する海産藻類(海藻)に対し,陸水に生育する藻類を淡水藻または陸水藻という。現在,地球上には約3万種の藻類が知られ,淡水藻と海産藻類がそれぞれほぼ1/2をしめる。グループとして陸水にのみ生育する藻類は車軸藻類だけで,グループ全体の80~90%またはそれ以上の種類が陸水産である藻類は,緑藻類,ミドリムシ藻類,黄金色藻類(ヒカリモ類),黄緑藻類(不等毛類)などである。これとは逆に,海に多く生育する仲間は,紅藻類,褐藻類,ハプト藻類渦鞭毛藻類などである。

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