海高(読み)うみだか

精選版 日本国語大辞典 「海高」の意味・読み・例文・類語

うみ‐だか【海高】

〘名〙 江戸時代漁業収益石高で表示したもの。また、それに課税する租税制度。この制度が実施されたのは少数漁村だけだった。海石(うみこく)。〔地方凡例録(1794)〕

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デジタル大辞泉 「海高」の意味・読み・例文・類語

うみ‐だか【海高】

江戸時代、漁業の収穫石高こくだかに換算して表したもの。また、それに対して課した税。実施されたのは少数の漁村であった。海石うみこく

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改訂新版 世界大百科事典 「海高」の意味・わかりやすい解説

海高 (うみだか)

近世日本の色高(雑税)の一種で,海石(うみこく),海上石ともいう。江戸初期,海川付けの村が海川で行う漁猟採藻の収獲高を見積り,それを田畑同様村高に結んだもの。毎年一定の貢租が徴収された。貢租は検地帳に記し本高同様に納める場合と,検地帳に記載せず村高と別に掲げ納める場合とがあった。もっとも,海川付けの村でも海高を有する村は数が少ない。海高は徳川氏の関東入部以後の設定になり,漁業権確立を内包する近世漁村の成立過程で誕生した。漁業権の確立はまた,戦時兵員・米輸送,領主御用など渡海渡川時に徴用される水主(水手)役(かこやく)の負担の有無と関係が深い。水主役が本年貢に結びつけられ,夫役人徴発を根底にもつ軍役調達への即応形態として置かれたものであることを考えると,海高もそれにつながると思われる。江戸中期に役永(やくえい)・運上のみを徴収することで海川を高に結ぶことが停止されたが,それは〈都(すべ)て動ある物は高に結ぶ事なし〉という原則の採用と,体制の安定化によって軍役発動の可能性が希薄化したことと関係しよう。

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百科事典マイペディア 「海高」の意味・わかりやすい解説

海高【うみだか】

近世の色高(いろだか)の一つ。海付・川付の村が海川で行う漁労・採藻の収穫高を見積もって村高として定めたもので,海石(うみこく)・海上石(かいじょうこく)ともいう。徳川家康の関東入部以後に設定され,漁業権の確立を必要とした近世漁村の成立のなかで取り決められた負担であり,江戸時代中期には役永(やくえい)・運上(うんじょう)に代えられて,海川を高に結ぶことが停止された。貢租は田畑などの本高(ほんだか)と同様に検地帳に記載されて納入される場合と,村高と別にして納入される場合があった。

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