海野清(読み)ウンノキヨシ

デジタル大辞泉 「海野清」の意味・読み・例文・類語

うんの‐きよし【海野清】

[1884~1956]彫金家東京の生まれ。東京芸大教授勝珉しょうみんの子。日本の伝統技法に西洋題材造形を融合させて創作を行った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海野清」の意味・わかりやすい解説

海野清
うんのきよし
(1884―1956)

大正・昭和の彫金家。水戸金工の名工といわれた海野勝珉(しょうみん)の四男として東京に生まれる。父が教授であった東京美術学校金工科を卒業。初めは正倉院宝物にみられるペルシアや唐の影響を受けた天平(てんぴょう)期の工芸を理想としたが、1932年(昭和7)東京美術学校の教授に任ぜられた直後、フランスに留学してからは古代エジプト芸術に感化され、日本の伝統技術と西欧の造形や題材を巧みに融合したものを創作して、当時の工芸界に新傾向を示した。55年(昭和30)重要無形文化財に認定された。代表作に初期の鸚鵡小禽葡萄文(おうむしょうきんぶどうもん)箱(東京国立博物館)、後期に青銀花器などがある。

[原田一敏]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「海野清」の解説

海野清 うんの-きよし

1884-1956 大正-昭和時代の彫金家。
明治17年11月8日生まれ。父海野勝珉(しょうみん)や加納夏雄に師事。伝統的彫金技術に,ヨーロッパ留学の成果をとりいれ,新風をもたらす。昭和7年母校東京美術学校(現東京芸大)の教授。30年彫金で人間国宝。全日本工芸美術家協会会長,日本彫金会会長などをつとめた。芸術院会員。昭和31年7月10日死去。71歳。東京出身。代表作に「鸚鵡小禽葡萄文箱(おうむしょうきんぶどうもんばこ)」など。

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