海舶互市新令(読み)かいはくごししんれい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海舶互市新令」の意味・わかりやすい解説

海舶互市新令
かいはくごししんれい

新井白石が長崎奉行大岡清相の協力で起草し,正徳5(1715)年江戸幕府が施行した長崎貿易の改正令。正徳新令,長崎新令ともいう。長崎貿易の制限令 23ヵ条と,のちに追加された諸令からなる。貞享2(1685)年以降の,中国船,オランダ船との貿易による金,銅の海外流出を防ぐ政策を強化し,輸出可能な銅の量に応じた貿易規模などの適正化をはかった。中国船には年間の入港数を 30隻,商額を銀高 6000貫,銅の輸出を 300万斤までとするなど制限し(→尺貫法),密貿易の防止のため来航船主に信牌しんぱい)を発給した。またオランダ船に対しては年間の入港数を 2隻,商額を銀高 3000貫,銅の輸出を 150万斤までとし,取引方法でも入札をやめ,長崎会所が輸入品の価格を協議して決める値組(ねぐみ)に改めた。定高制,値組制として長く存続したが,開国までに額はしばしば変更された。なお銀の輸出は,これに先立ち寛文8(1668)年に禁止されていた。(→鎖国オランダ貿易正徳の治

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