海盆(読み)カイボン(英語表記)basin

翻訳|basin

デジタル大辞泉 「海盆」の意味・読み・例文・類語

かい‐ぼん【海盆】

深海底にある、円形またはそれに近い形の盆地状の凹地

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精選版 日本国語大辞典 「海盆」の意味・読み・例文・類語

かい‐ぼん【海盆】

〘名〙 深海底にある盆地状の地形底面は平坦で、側面はゆるやかな傾斜をもつ。

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改訂新版 世界大百科事典 「海盆」の意味・わかりやすい解説

海盆 (かいぼん)
basin

ほぼ円形ないし正方形に近い形をした海底のくぼみで,大きさはさまざまである。海嶺海山列で囲まれる大洋底の大海盆はとくに大洋海盆といわれる。北極海大西洋インド洋,南太平洋では中央海嶺大陸縁辺部に囲まれる大洋底が海嶺などによっていくつかの大洋海盆に分けられている。これらは大陸からの堆積物によって平坦化され深海平原をなすことが多い。海溝に囲まれる太平洋ではアラスカ海湾を除いて深海平原は少ない。大洋底をなす海洋プレートは,中央海嶺から遠ざかるにつれ深く沈んでいくので水深が深い。北西太平洋海盆ジュラ紀に形成された海盆でこの例である。島弧背後の縁海はさまざまな規模や生い立ちをもつ海盆であるが,一般には生成年代が新しく,周囲陸地からの堆積物で埋められ水深は浅い。大陸境界地の小さな海底のくぼみにも海盆の名称が付されている。
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百科事典マイペディア 「海盆」の意味・わかりやすい解説

海盆【かいぼん】

深海底の凹地で長径と短径の差が小さいもの。細長い場合はトラフ(舟状海盆)という。海底堆積物の集積地となり海嶺(かいれい)や海膨により境される。堆積物が厚いと海底は平らな深海平原となり,薄いと小起伏の多い深海海丘となる。
→関連項目沖縄トラフ大西洋北極海

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海盆」の意味・わかりやすい解説

海盆
かいぼん
basin

形が円形から正方形に近い海底のくぼみ。その大きさにはよらない。周囲を海嶺(かいれい)、海膨(かいぼう)、海台などの高まりや、大陸、島弧などで囲まれているので、堆積(たいせき)が盛んで平坦(へいたん)な海底となっていることが多い。大きさにはいろいろあって、オホーツク海の南部、千島列島のすぐ北の千島海盆は小さいものの代表で、日本の東側にある北西太平洋海盆は大きいものの代表である。また、千島海盆は四方を陸に囲まれ、その堆積物で平坦な海盆の代表である。これに対し北西太平洋海盆は、大陸側に千島海溝、日本海溝、伊豆・小笠原(おがさわら)海溝などがあって、陸地からの堆積物をせき止めているので、凹凸が残っている海盆の代表例となっている。

[安井 正]

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岩石学辞典 「海盆」の解説

海盆

大洋底に存在する形が円形から正方形に近い盆状の海底の窪みである.3 000mから6 000mの深海に位置し,大洋底の大部分を占めている.海盆は周囲を海嶺,海膨,海台などの高まりや,大陸,島弧などで囲まれているので,堆積が盛んで平坦な海底となっていることが多い.日本近海では北西太平洋海盆があり,大きなものの代表である.海盆についてはデイーツはマントル内の熱対流で大洋部分の地殻が押しのけられたという説を1961年に述べているが,いまだに確定的な説はない.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海盆」の意味・わかりやすい解説

海盆
かいぼん
oceanic basin

海底の大規模な凹所。規模はさまざまである。海底の凹所でも細長いものは海溝またはトラフと呼ぶ。大洋底と同様の地殻構造をもつ。一般には,海嶺,海山列,島列など海底の高まりで区分された海底部分を呼ぶ (例:北西太平洋海盆,北東太平洋海盆など) が,オホーツク海の千島海盆,日本海の日本海盆のように,周囲より落込みが顕著な海底部分を呼ぶこともあり,その成因はいろいろである。

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世界大百科事典(旧版)内の海盆の言及

【海底地形】より

…海嶺の(3)の定義と同義語。 海盆basin平面的にみて,おおよそ丸い凹みで,大きさはさまざまである。 海嶺ridge(1)急峻な斜面を有する細長い高まり。…

【盆地】より

…周囲の大部分を山地に囲まれた土地で,地盤が周辺に対し相対的に沈降した結果形成される平地である。周囲の山地から流下する河川は,山麓(盆地縁辺)に扇状地を形成し盆地内で合流する。ときには,盆地中央部に湖沼が形成される(湖盆lake basin)が,日本などの湿潤地域では,周囲の山地中の最低所から排水され,外洋への出口をもっている。しかし,大陸内部の乾燥地帯では,水分の蒸発が激しいため,中央部に塩湖を有する外洋への出口をもたない内陸盆地が数多くみられる。…

【海底地形】より

…海洋地殻を有する縁海にもいろいろあって,マリアナ海溝背後のトラフは地殻熱流量が高く,地形は起伏が激しく堆積物がほとんどなく,水深は比較的浅くて地磁気異常の年代は若いので,中央海嶺と同様,現在新しく海底が形成されつつある縁海だと考えられている。一方,日本海盆や千島海盆は地殻熱流量が高く,かつては活動的な縁海だと考えられていたが,水深が深く,堆積物も厚くて地形は平たんであり,ここで発生する地震は,展張よりはむしろ圧縮の地震であることなどから,現在では拡大を停止した縁海であると考えられている。また,ベーリング海は中生代の地磁気異常を有する非常に古い海底から成るが,厚い堆積物でおおわれ,浅く平たんな地形を有しており,古太平洋の海底の一部を取り込むような形でアリューシャン海溝が形成されたと考えられている。…

※「海盆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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