海洋法条約(読み)かいようほうじょうやく

百科事典マイペディア 「海洋法条約」の意味・わかりやすい解説

海洋法条約【かいようほうじょうやく】

(1)海洋に関する従来の慣習法の法典化と,最近の新事態に対応する新たな立法を内容とする,〈領海および接続水域〉〈公海〉〈漁業および公海の生物資源の保存〉〈大陸棚〉に関する四つの条約。国連主催の1958年のジュネーブ海洋法国際会議で採択されたが,領海の幅は未解決であった。(2)1960年ジュネーブでの第2次海洋法国際会議が不調に終わった後,1973年より第3次海洋法国際会議が開始され,1982年ジャマイカのモンテゴ・ベイで採択された条約(1994年一部実質修正の上,発効)。正式名称は海洋法に関する国際連合条約。全320条と九つの付属書からなる。117ヵ国が署名(日本は1983年署名,1996年批准)。その基本思想は,海は全人類のものであり,国家は海洋に関して人類に対する義務を有するというもの。12カイリの領海国際海峡,200カイリの排他的経済水域,その外側公海を規定。大陸棚の限界,閉鎖海,深海底,海洋環境の保護,海洋の科学的調査,紛争解決の手続も含む包括的内容で〈世界の海の憲法〉と呼ばれている。日本でも発効に対応するため,多数の関連立法,法改正が行われた。→海洋汚染国際海洋法裁判所旗国法世界法群島水域
→関連項目海法漁獲可能量規制漁業公海自由の原則最大持続生産量サケ・マス漁業資源管理型漁業人類の共同遺産日露漁業交渉日韓漁業協定200カイリ水域母川国主義マグロ資源保存・管理特別措置法無害通航

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世界大百科事典(旧版)内の海洋法条約の言及

【海洋法】より

…海洋法は,国際法のなかでも最も古い歴史をもつ分野であるが,〈海洋法Law of the Sea〉という言葉が用いられたのはごく最近である。だいたいにおいて,第3次の国連海洋法条約(後出)の起草過程を通じて,この言葉が上記の内容をもつ統一的な用語として一般に定着するに至った。次に,海洋法の発展の歴史を,便宜上3期に分けて概観することにする。…

【国際連合】より

…これは,すべての国が自国内の天然資源を自由に処分できる権利をもつことを承認し,これまで外国企業の支配下にあった自国の天然資源を国有化する権利を認めたものである。82年に第3次国連海洋法会議が採択し,94年に発効をみた海洋法条約にも,上記の宣言の海洋資源への適用とみられる新しい規定が盛られている。この新海洋法条約では,排他的経済水域や群島水域,深海海底などの新しい制度が設けられたが,これらは,新興途上国のための海洋資源の開発と利益の分配の主張を制度化したものであった。…

※「海洋法条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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