精選版 日本国語大辞典 「海洋性気候」の意味・読み・例文・類語
かいようせい‐きこう カイヤウ‥【海洋性気候】
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海洋上や海洋上の小島および海岸地方に特徴的に現れる気候の総称。前二者を海洋気候、後者を海岸気候として区別する場合もある。海洋性気候は海洋性気団による影響を受け、大陸性気候とは対照的な気候を示す。
海洋性気候のおもな特徴は、気温の年較差および日較差が小さく、暖まりにくく冷めにくい海水の熱容量の影響で、気温変化が内陸に比べて時間的に遅れて現れることにある。たとえば最暖月は、内陸では7月であるが、海洋では8月あるいは9月、最寒月は2月に現れたりする。一般に湿度が高く、雲が多くて曇天の日が多い。内陸に比べ地形の起伏が少ないので、比較的風向が一定し風速も大きい。海岸地方では、海風と陸風の交替がみられる所が多い。大気は清浄で細塵(さいじん)が少なく、オゾンや紫外線に富んでいる。大陸性気候地域に比べると一般に寒暑の差が小さく生活しやすい所が多く、湿潤である。降水量は、温帯地方の海洋では冬半年に多い所があり、1日のうちでは夜間から早朝にかけて多い傾向がみられる。日本の気候は大陸沿辺部の海洋性気候の特徴が強く、冬季の日本海側における対馬(つしま)暖流からの水蒸気供給による大雪、夏季における梅雨末期の集中豪雨、台風による風雨など、海洋の影響が大きい。
[小林 望・福岡義隆]
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