海河(読み)かいが

精選版 日本国語大辞典 「海河」の意味・読み・例文・類語

かい‐が【海河】

〘名〙 海と川。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海河」の意味・わかりやすい解説

海河
かいが / ハイホー

中国、華北地区を流れる大河。沽河(こが/クーホー)ともよばれる。潮白河(ちょうはくが/チャオパイホー)、永定河(えいていが/ヨンティンホー)、大清河(だいせいが/ターチンホー)、子牙河(しがが/ツーヤーホー)、衛河(えいが/ウェイホー)の五つの河川が天津(てんしん/ティエンチン)市付近で合流して以後を海河とよび、東流して大沽(タークー)口で渤海(ぼっかい/ポーハイ)に注ぐ。五大河川中最長の衛河を基準とすると、全長1090キロメートル、合流点より下流は69キロメートル、全水系の流域面積は黄河以北の26.4万平方キロメートルに達する。五大河川はそれぞれ、燕山(えんざん/イエンシャン)山脈、太行(たいこう/タイハン)山脈、五台山(ごだいさん/ウータイシャン)、恒山(こうざん/ホンシャン)山脈および黄土高原上に源を発し、大量の土砂を流下する。そのうえ増水の時期が同時で、しかも下流部の流路勾配(こうばい)がきわめて緩やかなため、排水不良でしばしば大水害を生じ、1939年には天津市で床上浸水2か月に及んだこともあった。また永定河も旧名無定河の名のごとく、流路がしばしば変わる危険な河川であった。

 解放後治水工事が始まり、とくに1963年8月にまたも大水害を生じたので、同年秋以後治水工事が促進された。中・下流部には独流減河(どくりゅうげんが)、永定新河、子牙新河、潮白新河などの放水路が開削され、また上流には密雲(みつうん/ミーユン)、官庁(かんちょう/コワンティン)、崗南(こうなん/カンナン)などの大型ダムが建設され、洪水調節とともに都市用水の安定供給や水力発電が図られている。さらに衛河上流では人民勝利渠(きょ)が開かれ、黄河から灌漑(かんがい)用水の取水も行われている。海河水系の潮白河の一部は北運河とよばれ、また衛河の下流部は南運河とよばれるが、これは大運河の一部に組み込まれていたためである。現在も南運河は華北地区の重要な水上交通路として活用されており、また現在計画中の長江(ちょうこう/チャンチヤン)(揚子江(ようすこう/ヤンツーチヤン))の水を天津、北京(ペキン)に送る南水北調計画の東ルートにも組み込まれることになっている。

[河野通博]

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百科事典マイペディア 「海河」の意味・わかりやすい解説

海河【かいが】

中国,河北省最大の水系。別名を沽河(こが)という。潮白河,永定河,大清河,子牙河,南運河が天津で合流して以後の下流をいう。合流後の全長約70km。河口付近に大沽(タークー),唐沽(タンクー)港がある。水運の便はよいが,過去しばしば氾濫(はんらん)した。
→関連項目永定河

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海河」の意味・わかりやすい解説

海河
かいが

ハイ(海)河」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の海河の言及

【衛河】より

…中国の華北平原を流れる海河水系の五大河川の一つ。御河ともいう。…

【河北[省]】より


[自然]
 南東に開けた平たんな河北平原では,西に太行山脈,北に燕山山脈があるので,河流はだいたいに西から東への方向をとって渤海湾に注ぐ。この平原は黄河(かつては本省の南部を通って渤海湾に注いでいたことがある),海河,灤河(らんが)などによってつくられた沖積地で,大部分は標高50m以下である。しかし,山麓地帯には黄土の堆積でできた扇状地がつらなっていて,北京をはじめ邯鄲(かんたん),石家荘,保定などの重要な都市がその線に位置している。…

【黄河】より

…崑崙山脈の一脈である青海省中部の巴顔喀拉山脈の雅拉達沢山の東麓約30kmにある約古宗列(青稞(大麦の一種)を炒る鍋の意)盆地の南西隅が黄河の発源地で,源流はチベット族により瑪曲(孔雀河の意味)と呼ばれる。
[河道の変遷と黄河文明]
 現在黄淮海(こうわいかい)平原とも呼ばれる華北平原は,その別名のように黄河,淮河,海河の3水系の運搬する土砂の堆積によって形成されたものであるが,その堆積作用においてずば抜けた主役を演じたのは黄河であった。皮肉なことに,華北平原において淮河と海河とは現在多数の支流が本流に流入し,その流域面積も非常に広いが,黄河は華北平原の最西端部で洛河と沁水が流入するものの,それより下流には,一本も流入する支流がなく,黄河本流自体も鉄壁のような大堤防に両岸を固められ,その河床は淮河水系と海河水系との分水嶺ともいえる役割を演じているにすぎない。…

【山西[省]】より

…汾河は黄河第2の支流で,全長716km,本省の水利,交通の大動脈であるが,増水期には水量が渇水期の100倍にも達するので,段々畑(梯田(ていでん))の造成と山地の緑化を積極的に進めて,泥砂の流失を防止している。本省東部の河川はみな東に流れて河北省に至り,桑乾河は永定河となり,滹沱河(こだか)は子牙河に,清漳河(せいしようが)と濁漳河は衛河に入り,合流して海河となって天津市付近で渤海湾に注ぐ。湖沼では運城の解池(塩池)が最大で,食塩を産出し,解塩の名で古来有名である。…

※「海河」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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