海戦(ゲーリングの戯曲)(読み)かいせん(英語表記)Seeschlacht

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

海戦(ゲーリングの戯曲)
かいせん
Seeschlacht

ドイツの劇作家ラインハルト・ゲーリングの一幕戯曲。1917年作。翌年ドレスデンとベルリン初演。表現主義の代表的戯曲の一つ。第一次世界大戦中のスカゲラークの海戦(1916.5.31)を素材に、戦場へ向かう戦艦の砲塔内に閉じ込められた7人の水兵が、不安におびえながら、互いの心の内奥を探り合う。人殺しの義務を選ぶか、勇を鼓して反乱を選ぶか、7人の決断とためらいが激しくぶつかる。やがて敵艦と遭遇し、砲塔内も被弾、ガスマスクをつけてだれとも区別のつかなくなった水兵たちが次々と倒れてゆくなかで、反乱を扇動した水兵が最後まで残って戦う。日本では24年(大正13)、築地(つきじ)小劇場の杮落(こけらおと)しに土方与志(ひじかたよし)演出で上演。わが国の新劇史上、記念碑的作品。

山本 尤]

『茅野蕭々訳『海戦』(『近代劇全集11 独逸篇』所収・1927・第一書房)』

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