海外経済協力基金(読み)かいがいけいざいきょうりょくききん(英語表記)The Overseas Economic Cooperation Fund

精選版 日本国語大辞典 「海外経済協力基金」の意味・読み・例文・類語

かいがいけいざいきょうりょく‐ききん カイグヮイケイザイケフリョク‥【海外経済協力基金】

〘名〙 発展途上地域への開発投資資金供給を主目的とする全額政府出資の特殊法人。また、その基金。昭和三六年(一九六一設置。平成一一年(一九九九国際協力銀行改組

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デジタル大辞泉 「海外経済協力基金」の意味・読み・例文・類語

かいがいけいざいきょうりょく‐ききん〔カイグワイケイザイケフリヨク‐〕【海外経済協力基金】

開発途上国経済開発資金を供給するために設置された融資機関。また、その基金。全額政府出資の資本金借入金を資金とした。昭和36年(1961)設立、平成11年(1999)国際協力銀行業務を引き継ぎ解散OECF(Overseas Economic Cooperation Fund)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海外経済協力基金」の意味・わかりやすい解説

海外経済協力基金
かいがいけいざいきょうりょくききん
The Overseas Economic Cooperation Fund

1961年(昭和36)3月に海外経済協力基金法に基づいて設立された全額政府出資の金融機関。略称OECF。東南アジアその他の開発途上地域の産業開発と経済の安定のために必要資金を供給し、経済協力を促進することを目的とした。融資業務は、途上国の政府または政府関係機関に対する融資(直接借款)と、途上国の開発事業に従事する本邦企業に対する融資または出資(一般案件)の二つに分けられ、前者グラント・エレメント贈与等価割合)が25%以上のもの、後者は農林水産業における試験的事業や探鉱など日本輸出入銀行(当時)の貸付が困難なものを扱った。融資実績は直接借款がほとんどを占め、またアジア地域に集中的になされているのが特徴的であった。

 1995年(平成7)3月、特殊法人等の整理合理化の一環として日本輸出入銀行との統合が閣議決定され、同基金は1999年10月、日本輸出入銀行と統合し、国際協力銀行となった。なお、その後の政策金融改革によって、国際協力銀行の業務のうち「海外経済協力業務及び外務省の無償資金協力業務の一部」は、2008年(平成20)10月に国際協力機構(JICA(ジャイカ))に承継された。また国際協力銀行の業務のうち「国際金融等業務」は、株式会社日本政策金融公庫の一部門となり、さらに2012年4月に日本政策金融公庫から分離され、株式会社国際協力銀行となった。

[秋山憲治]

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改訂新版 世界大百科事典 「海外経済協力基金」の意味・わかりやすい解説

海外経済協力基金 (かいがいけいざいきょうりょくききん)

日本の経済協力機関の一つ。対外的にはThe Overseas Economic Cooperation Fund of Japan(略してOECF)の名称も使われる。東南アジアをはじめ,発展途上国の産業開発,経済安定に寄与するために,1961年3月海外経済協力基金法に基づいて設立された。産業開発等に必要な資金で,日本輸出入銀行(輸銀)や一般の金融機関からの供給が困難なものについて,その供給を行う。資金供給の内容には,(1)外国政府に対する融資(直接借款)と,(2)海外における開発事業に従事する企業等に対する融資または出資(海外投融資)とがある。(1)直接借款は,日本の経済力の強まりに伴う国際的責任の高まりを反映して趨勢的に増加し,97年度の直接借款の事業計画は9100億円である。供与額を地域別にみると,アジア地域が最も多く,全体の約80%を占めている。(2)海外投融資は,1975年7月の輸銀との業務分野調整に基づき,鉱業・農林水産業等の開発・調査事業への融資が中心であり,97年度は300億円の事業計画である。99年10月,日本輸出入銀行と統合して国際協力銀行Japan Bank for International Cooperation(JBIC)となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海外経済協力基金」の意味・わかりやすい解説

海外経済協力基金
かいがいけいざいきょうりょくききん
Overseas Economic Cooperation Fund; OECF

発展途上国の経済開発に寄与するため,開発資金の円滑な供給を行い海外経済協力を促進することを目的に,海外経済協力基金法 (昭和 35年法律 173号) に基づき 1961年3月に設立された日本政府関係機関。資金は政府出資金と資金運用部からの借入金によった。融資業務は,(1) 外国の政府,政府関係機関,地方公共団体などに対する直接借款 (→円借款 ) ,(2) 海外で開発事業を行なっている日本企業に対する融資 (一般案件) に大別していた。日本輸出入銀行 (現国際協力銀行) が原則として一般案件を担当するのに対して,基金は開発援助委員会が認めた政府開発援助に含まれる直接借款 (グラント・エレメント 25%以上のもの) ならびに一般案件であっても農林水産,探鉱などの開発事業に対する貸付業務のうち輸銀の貸付けが困難なものを担当した。 99年 10月には日本輸出入銀行と統合され,新たに国際協力銀行が発足した。

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百科事典マイペディア 「海外経済協力基金」の意味・わかりやすい解説

海外経済協力基金【かいがいけいざいきょうりょくききん】

開発途上にある海外の地域産業開発または経済の安定に寄与するため,開発途上国政府または政府機関等,さらに開発途上国で事業を行う日本の企業等に対して投融資を行う資金で,日本輸出入銀行や一般の金融機関の融資が困難なものを供給する全額政府出資の特殊法人。同基金法(1960年)に基づく法人で,1961年発足。経済企画庁主管。OECF(The Overseas Economic Cooperation Fund)とも。その後,1999年10月に,海外経済協力基金と日本輸出入銀行が統合して国際協力銀行が設立された。
→関連項目円借款ODA日本輸出入銀行

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世界大百科事典(旧版)内の海外経済協力基金の言及

【延払輸出】より

…輸入者が支払を繰り延べて行うことが〈延払いdeferred payment〉といわれるゆえんだが,輸出者(サプライヤー)は輸入者(バイヤー)に対して信用の供与(5年未満が中期,5年以上が長期)を行う。信用供与の方法は輸出者から輸入者に対する直接のサプライヤーズ・クレジットが一般的で,これは,輸出者は輸出信用供与機関(日本輸出入銀行海外経済協力基金)から資金を借り,輸入者から輸出代金を回収するごとに返済するという方法である。このほか,輸出信用供与機関が輸入者に対して融資する場合(バイヤーズ・クレジット)や,輸入国の金融機関に融資する場合(バンク・ローン)もある。…

※「海外経済協力基金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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