海上捕獲(読み)カイジョウホカク(英語表記)maritime capture

デジタル大辞泉 「海上捕獲」の意味・読み・例文・類語

かいじょう‐ほかく〔カイジヤウホクワク〕【海上捕獲】

交戦国公海または領海で、敵国艦船やその貨物、あるいは中立違反の嫌疑のあるものなどを捕獲すること。

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精選版 日本国語大辞典 「海上捕獲」の意味・読み・例文・類語

かいじょう‐ほかく カイジャウホクヮク【海上捕獲】

〘名〙 交戦国の一方が公海・領海上で敵国の船舶やその貨物を捕獲したり、中立国の船舶や貨物で中立違反の疑いのあるものなどを捕獲したりすること。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海上捕獲」の意味・わかりやすい解説

海上捕獲
かいじょうほかく
maritime capture

国際法上の用語で、戦時に交戦国の軍艦が、敵の船もしくは貨物、または一定の中立船もしくは中立貨物を、公海または交戦国いずれかの領海で捕獲することをいう。海上捕獲が認められるのは、第一に、敵の船と、それに積まれた敵の貨物である。敵の船は、公船たると私船たるとを問わず、原則として捕獲される。ただし、病院船、学術・博愛・宗教の任務をもつ船、沿岸漁業沿岸航海に従事する船は捕獲されない。敵の船に積まれた貨物は敵の貨物と推定され、中立性が立証されない限り捕獲される。また中立貨物であっても、戦時禁制品であれば捕獲される。第二に、一定の中立船および中立貨物は捕獲される。その一として、封鎖を侵破した中立船およびその積み荷はすべて捕獲される。その二として、中立船上の敵の貨物および敵地に仕向けられた中立貨物は、それらが戦時禁制品であれば捕獲される。禁制品が、価格・体積・運賃・重量のいずれかで全積み荷の半分以上を占める場合には、その中立船も捕獲される。その三として、敵国の軍事的利益となる行為を行った中立船は捕獲される。

 捕獲の手続としては、軍艦が臨検・捜索を行い、理由があれば拿捕(だほ)し、本国に引致する。引致された船舶と貨物について、本国の捕獲審検所審検を行い、その検定によって捕獲の理由があると決定されて、初めて捕獲の効力が確定する。

[石本泰雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海上捕獲」の意味・わかりやすい解説

海上捕獲
かいじょうほかく

捕獲」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の海上捕獲の言及

【捕獲】より

…敵兵力を構成する船舶,すなわち軍艦が直接攻撃の対象となり,拿捕された場合には戦利品bootyとして直ちに没収されるのと異なり,私船および商業目的の公船は捕獲手続を経てはじめて捕獲物prizeとなる。海戦法規の整備に伴い定着した制度で,海上捕獲とも呼ばれる。この制度の主要な目的は,交戦権の行使と,中立通商の保護の調整にある。…

※「海上捕獲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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