浮・浮子・泛子(読み)うき

精選版 日本国語大辞典 「浮・浮子・泛子」の意味・読み・例文・類語

うき【浮・浮子・泛子】

〘名〙 (動詞「うく(浮)」の連用形の名詞化)
① 浮くこと。
※おぼろ夜(1899)〈斎藤緑雨〉「されどこの世は乗合船と昔からの譬喩(たとへ)もある、浮(ウ)きも沈みもお前一人にさするでなければ」
② =うきき(浮木)〔色葉字類抄(1177‐81)〕
③ 釣り用具の一つ。水面に浮かせ、魚がえさをくわえたのを知るために用いるもので、数多くの種類がある。うけ。うけき。〔俚言集覧(1797頃)〕
④ 水中の魚網などの位置を知るために浮かせておく木片、桶、樽など。うきこ。うけ。あんば。
水流の速度・方向を測定するために、または、暗礁(あんしょう)、州(す)などを知らせるために、水面に浮かべるもの。浮標(ふひょう)。〔和英語林集成(再版)(1872)〕
⑥ 水泳用または救命用に持ったり、身に付けたりする具。浮き輪、浮き袋浮き沓(ぐつ)の類。浮き具。
鼈甲(べっこう)の合わせ目にできたすきま。
※洒落本・青楼昼之世界錦之裏(1791)「わたしが此ぢうのかうがい、うきがでんした」
⑧ 掛け軸などで、表装ののりがきかず、書画が浮き上がって落ち着かない箇所。
⑨ (ウキ) 謡曲音階の一つ。今までうたい続けてきた音より半音階高めてうたう音階。たとえば、中音より半音階高いものを中(ちゅう)のウキ、上音より半音階高いものを上(じょう)のウキなどという。その符号は「ウ」で示される。また、単に高めにうたう場合にも用いられることがある。
⑩ (「うきき(浮木)」の略からともいう) 船をいう、人形浄瑠璃社会の隠語
滑稽本浮世床(1813‐23)二「どうじゅく(ともだち)は、うき(舟)をしこらへ(こしらへ)させて」
⑪ 腫(は)れ。むくみ。〔浪花聞書(1819頃)〕
[語誌]③の意を表わす語形としては上代から近世・近代初期まで、下二段他動詞「うく」の連用形名詞「うけ」が使われていた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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