浮れる(読み)うかされる

精選版 日本国語大辞典 「浮れる」の意味・読み・例文・類語

うかさ‐・れる【浮れる】

〘自ラ下一〙 うかさ・る 〘自ラ下二〙 (動詞「うかす(浮)」の未然形に、受身の助動詞「れる」が付いて一語化したもの)
① ものに心を奪われて夢中になる。おだてられたりして心がうわつく。
※玉塵抄(1563)三一「文君がひかれてうかされて夜るをやの所をよにげにして相如が所え奔りこうだぞ」
高熱激情などのため意識が正常でなくなり、正気を失った状態になる。
※俳諧・水馴棹(1705)三「嫉気の己が心に夢鬼(ウカ)されて」
③ 茶などを飲んで興奮し、眠れなくなる。
咄本・鯛の味噌津(1779)番太郎「茶にうかされると、夜ねられませぬから参りますまい」

うかば‐・れる【浮れる】

〘自ラ下一〙 (動詞「うかぶ(浮)」の未然形に可能の助動詞「れる」が付いて一語化したもの)
死者の霊が迷いからぬけ出て、安らかになれる。成仏できる。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
② (多く打消を伴う) 苦しい立場からぬけ出ることができる。運が開ける。また、立身出世する。
坑夫(1908)〈夏目漱石〉「散ざっぱらお前さんで、厭になる程遣られた揚句の果、もう到底御前さん以上には浮かばれないものと覚悟してゐた矢先に」

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デジタル大辞泉 「浮れる」の意味・読み・例文・類語

うか・れる【浮(か)れる】

[動ラ下一][文]うか・る[ラ下二]《「浮く」から派生した自発形か》
楽しくなって心がうきうきする。おもしろさに心を奪われる。「酔って―・れる」「月に―・れて歩く」
自然に浮く。浮かぶ。
「めぐりあふ末をぞたのむゆくりなく空に―・れし十六夜いざよひの月」〈十六夜日記
当てもなく歩き回る。
住吉すみのえの津守網引の浮けの緒の―・れか行かむ恋ひつつあらずは」〈・二六四六〉
落ち着かなくなる。動揺する。
「さらぬだに―・れてものを思ふ身の心をさそふ秋の夜の月」〈山家集・上〉
[類語]のぼせるほうける喜ぶ浮き立つ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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