浪江(読み)なみえ

改訂新版 世界大百科事典 「浪江」の意味・わかりやすい解説

浪江[町] (なみえ)

福島県東部,双葉郡の町。人口2万0905(2010)。浜通り地方中北部にあって,東は太平洋に面し,西は阿武隈高地稜線まで町域が広がる。町域の約半分を山林が占め,耕地は東流する請戸(うけど)川の支流,室原川と高瀬川の下流部に広がる。中心集落の権現堂には,江戸時代,浜街道の宿駅の浪江駅があり,相馬藩の陣屋がおかれていた幾世橋(きよはし)には藩主の隠居屋敷があった。稲作養蚕を中心とするが,トマト,キュウリなどの施設園芸も伸びている。水産等ではサケの栽培漁業が増加している。請戸港はかつては千石船が寄港,物資の移出入港として栄えたが,現在は沿岸漁業の基地となっている。請戸川のサケ漁である10~11月の最盛期には1日に数千人の観光客でにぎわい,1993年にはプラネタリウム,宿泊施設,テニスコートなどを備えた多目的レジャー施設〈マリンパークなみえ〉が開設された。相馬藩の保護窯として発達した大堀の相馬焼は,藩主の家紋にちなんだ奔馬の絵を付けた焼物で〈相馬駒焼〉ともいわれる。JR常磐線,国道6号,114号線が通じる。2011年3月の福島原発事故に際し,町役場機能を福島県二本松市に移転した。
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