日本大百科全書(ニッポニカ) 「浦安(市)」の意味・わかりやすい解説
浦安(市)
うらやす
千葉県北西部、旧江戸川河口にあり東京湾に面する市。1981年(昭和56)市制施行。江戸川のデルタ上にあり、旧江戸川を挟んで東京都と接していながら交通の便が悪く、都市化から取り残されていたが、1969年に営団地下鉄(現、東京地下鉄)東西線、1988年JR京葉線が開通して一躍住宅地へと変容した。また首都高速道路湾岸線、それと併走する国道357号が通じる。
第二次世界大戦前は、東京湾でのノリ養殖と、ハマグリ、アサリの産地で、境(さかい)川にはベカ舟とよばれる小舟が多数つながれて、典型的な漁師町の景観を呈していた。現在も境川周辺の旧市街にそのおもかげを残しているが、1971年に漁業権が放棄され、東京湾岸の大規模な埋立て工事が進んで住宅団地と住宅地の開発が著しく、人口が急増した。埋立地の広大な土地を利用して鉄鋼流通団地が形成され、さらに1983年4月東京ディズニーランド、2001年(平成13)には東京ディズニーシーが開園、周辺に高層ホテルが建ち並ぶに及び、湾岸地域の発展が著しい。伝統的な念仏踊の系統を引くお洒落(しゃらく)踊は県指定無形民俗文化財。なお、山本周五郎の『青べか物語』の舞台となった所として有名。面積17.30平方キロメートル(一部境界未定)、人口17万1362(2020)。
[山村順次]
『『浦安町史』全2巻(1969、1974・浦安町)』▽『『浦安の歩み』(1975・浦安町)』▽『『浦安市史 まちづくり編』『浦安市史 生活編』(1999・浦安市)』