精選版 日本国語大辞典 「浜千鳥」の意味・読み・例文・類語
はま‐ちどり【浜千鳥】
[1] 〘名〙 浜辺にいるちどり。浜つ千鳥。《季・冬》
[2] 枕 「あと」にかかる。浜にいるちどりが、砂の上を歩いてつけた足跡の意。
※清慎公集(970頃)「いつしかと明て見たれば浜千鳥跡あることに跡の無哉」
[語誌](1)記紀歌謡には、「浜つ千鳥」の例があるが、「万葉集」には、「浜つ千鳥」も「浜千鳥」も見られない。しかし、「千鳥」の例は見られ、その多くは、「佐保川」に鳴く鳥として詠まれている。
(2)古今集時代には,(一)の挙例の壬生忠岑の歌のように、上代に見られた「浜つ千鳥」が一語化されて「浜千鳥」となる。ところが、「古今集」に収められた「浜千鳥」の歌は、中国古代の黄帝時代に蒼頡(そうけつ)が鳥の足跡を見て漢字を作ったという故事を踏まえて詠まれた「忘られん時しのべとぞはま千鳥ゆくへも知らぬ跡をとどむる〈よみ人しらず〉」(雑下)一首であり、以後しばらくその影響下に「浜千鳥」が詠まれ、砂浜についた足跡を筆跡や手紙に見立てたり、千鳥が砂浜を踏む意の「踏み」と、手紙の意の「文(ふみ)」とを掛けたりする。
(3)新古今集時代になると、「白浪に羽打かはし浜千鳥かなしき物は夜の一声〈源重之〉」〔新古今‐冬〕のように、純粋な冬の景物として詠まれるようになる。
(2)古今集時代には,(一)の挙例の壬生忠岑の歌のように、上代に見られた「浜つ千鳥」が一語化されて「浜千鳥」となる。ところが、「古今集」に収められた「浜千鳥」の歌は、中国古代の黄帝時代に蒼頡(そうけつ)が鳥の足跡を見て漢字を作ったという故事を踏まえて詠まれた「忘られん時しのべとぞはま千鳥ゆくへも知らぬ跡をとどむる〈よみ人しらず〉」(雑下)一首であり、以後しばらくその影響下に「浜千鳥」が詠まれ、砂浜についた足跡を筆跡や手紙に見立てたり、千鳥が砂浜を踏む意の「踏み」と、手紙の意の「文(ふみ)」とを掛けたりする。
(3)新古今集時代になると、「白浪に羽打かはし浜千鳥かなしき物は夜の一声〈源重之〉」〔新古今‐冬〕のように、純粋な冬の景物として詠まれるようになる。
はんま‐ちどり【浜千鳥】
〘名〙 「はまちどり(浜千鳥)」の変化した語。
※虎明本狂言・千鳥(室町末‐近世初)「はんまちどりの友よぶこゑはと、拍子にかかっておほせられひ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報