浅沼暗殺事件(読み)あさぬまあんさつじけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「浅沼暗殺事件」の意味・わかりやすい解説

浅沼暗殺事件
あさぬまあんさつじけん

1960年(昭和35)10月12日に日本社会党委員長浅沼稲次郎が刺殺された事件。浅沼は、安保闘争後初の総選挙のために東京・日比谷公会堂で開かれた公明選挙連盟、東京都選挙管理委員会、NHK三者共催の自由民主、日本社会、民主社会三党首立会い演説会で演説中、突如壇上に躍り上がった17歳の右翼団体団員山口二矢(おとや)に脇差(わきざし)で刺され即死した。安保闘争の高揚に焦りを感じた右翼が引き起こした一連のテロ事件の頂点をなすもので、また犯行の模様がテレビで全国に放送されたこともあって、国民に大きな衝撃を与えた。事件は、犯行後20日目に東京少年鑑別所内で自殺した山口の単独犯行として、背後関係をうやむやにしたまま処理されたが、その処理や警察の警備責任について多くの論議を巻き起こした。大衆的人気をもつ浅沼の死は社会党にとって大きなダメージであった。

伊藤 悟]

『室伏哲郎著『日本のテロリスト』(1962・弘文堂)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android