洞爺湖(読み)とうやこ

精選版 日本国語大辞典 「洞爺湖」の意味・読み・例文・類語

とうや‐こ【洞爺湖】

北海道の南西部にあるカルデラ湖。湖の中央部に、中央火口丘の中島がある。支笏(しこつ)洞爺国立公園の一中心。支笏湖とともに日本での不凍湖のほぼ北限にあたる。面積七〇・七平方キロメートル。最大深度一八〇メートル。

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デジタル大辞泉 「洞爺湖」の意味・読み・例文・類語

とうや‐こ【洞爺湖】

北海道南西部にあるカルデラ湖。面積70.7平方キロメートル。最大深度179.7メートル。南岸に有珠うす昭和新山がある。

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日本歴史地名大系 「洞爺湖」の解説

洞爺湖
とうやこ

虻田あぶた虻田町洞爺村有珠うす壮瞥そうべつ町の境をなす湖。「どうや」とよぶ場合もあるが、正式には自治体名、JR室蘭本線の駅名にも用いられる「とうや」。胆振支庁の西部、内浦湾(噴火湾)の北東岸に位置し、ほぼ円形をなすカルデラ湖。国土地理院による昭和四三、四年(一九六八、六九)の測量では湖沼周囲五二キロ、面積七〇・七平方キロ、湖面標高八三・九メートル、最大水深一七九・七メートル、淡水の貧栄養湖で、透明度一三メートル。湖のほぼ中央になか島と、ごく小さい観音かんのん島・弁天べんてん島・饅頭まんじゆう島が浮ぶ。湖の起源となったカルデラは、第四紀の更新世末期の八万―九万年前に多量の軽石噴出を伴う大噴火が生じ、直後に地下マグマの質量欠損により大陥没したもので、約二万年前に中央火口丘の中島(溶岩円頂丘)、さらに完新世の約八〇〇〇―六〇〇〇年前にカルデラ南壁の寄生火山である有珠山本体の形成をみた(「札幌の自然を歩く」第二版、「北海道5万年史」)

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改訂新版 世界大百科事典 「洞爺湖」の意味・わかりやすい解説

洞爺湖 (とうやこ)

北海道南西部,胆振(いぶり)支庁管内にあるカルデラ湖。直径約10kmのほぼ円形をなし,面積69.4km2,最大深度179.7m。湖底はほぼ平たんである。カルデラの基盤は新第三紀層で,更新世末に多量の軽石流の噴出を伴う大噴火が繰り返されて陥没した。湖面が広いわりには外輪山は湖面からの比高200~500mと低く,広々とした景観をつくっている。カルデラ壁には畑地も開かれ,北部にはニナルカ台地や一ノ原,二ノ原など火山灰や軽石流堆積物からなる広大な台地もみられる。湖の中央部には中島(最高点は標高455m)をはじめ観音島,弁天島,饅頭島などの輝石角セン石安山岩からなる中央火口丘がある。湖岸には狭い砂浜もあり,北部から流入するポロベツ川には小規模な三角州も形成されている。湖の透明度は23.5mを記録したこともあったが,周囲の温泉街や硫黄鉱山からの廃水が増加し,その値は低下している。壮瞥(そうべつ)町の滝之上の火口瀬から長流(おさる)川支流の壮瞥川が滝をつくって排水していたが,1920年に同所に壮瞥発電所がつくられ,水路から排水するようになり,現在は滝跡の崖をのこすのみである。湖水の一部は下流域の農業用水にも利用されている。湖畔には洞爺湖温泉,壮瞥温泉やキャンプ場,展望台があり,中島には森林博物館が設けられ,観光船も通じている。南岸の有珠(うす)山昭和新山と合わせて道内有数の観光地を形成している。

湖の南岸にあり,道内最大規模の収容力をもち,ホテル,旅館が建ち並ぶ。泉質は食塩泉,泉温は55~60℃。1917年に発見され,当初は床丹(とこたん)温泉と呼ばれた。28年の室蘭本線の開通をはじめ,洞爺湖電気鉄道(1941廃止),胆振線(1986年バス路線に転換)など交通の整備に伴い温泉街が形成された。第2次大戦後,昭和新山が出現したこともあって,観光地として脚光を浴び,ホテル,旅館や飲食店,みやげ物店が急増し,札幌の奥座敷としての性格をもつ。洞爺湖温泉の東には,53年に東丸山でのボーリングによって開発された壮瞥温泉(ボウ硝泉,67~91℃)があり,洞爺湖温泉とは対照的に閑静な温泉地となっている。
執筆者:

洞爺湖[町] (とうやこ)

北海道南西部,胆振(いぶり)支庁虻田(あぶた)郡の町。2006年3月虻田町と洞爺村が合体して成立した。人口1万0132(2010)。

洞爺湖町南部の旧町。胆振支庁虻田郡所属。人口9189(2005)。内浦湾に面し洞爺湖に臨む。JR室蘭本線が通じ,役場所在地の虻田市街に洞爺駅がある。道央自動車道の虻田洞爺湖インターチェンジがある。町域には内浦湾と洞爺湖に挟まれる丘陵地と有珠(うす)火山とが含まれる。1917年に発見された洞爺湖南岸の洞爺湖温泉(食塩泉,55~60℃)は北海道屈指の保養地を作り,有珠山,昭和新山など支笏洞爺国立公園観光ルートの起点をなす。1791年(寛政3)には付近一帯の漁場の中心地として運上屋が置かれ,1805年(文化2)には箱館奉行が虻田有珠に牧場を開き,これは北海道の馬産地の先駆となり,明治に至るまで経営された。92年発見の虻田鉄鉱床は室蘭の製鉄所に鉱石を供給したが,1971年閉山した。漁業は不振だが,気候は温和で,促成野菜の生産などが発展している。
執筆者:

洞爺湖町北部の旧村。胆振支庁虻田郡所属。人口2154(2005)。洞爺湖の北岸に位置し,洞爺湖カルデラ壁と羊蹄(ようてい)山麓に連なる台地からなり,北縁を貫気別(ぬつきべつ)川が西流する。地名はアイヌ語の〈トー・ヤ(沼の・岸)〉に由来する。1887年香川県から22戸が団体入植したのに始まる。耕地の大半は畑地で,テンサイ,豆類,ジャガイモのほか,アスパラガスなどを産する。観湖台,大観望からの洞爺湖の眺めがよい。湖岸にはキャンプ場がある。札幌から中山峠をへて洞爺湖に至る国道230号線が通じる。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「洞爺湖」の意味・わかりやすい解説

洞爺湖【とうやこ】

北海道南西部にあるカルデラ湖。標高83.9m,面積70.72km2,最深179.7m。周辺に有珠(うす)山,昭和新山がある。中央に浮かぶ中島は中央火口丘をなす溶岩円頂丘で,原始林におおわれ,道立森林博物館がある。支笏(しこつ)洞爺国立公園に属し,南岸の洞爺湖温泉から遊覧船が発着する。アイヌ語のトーヤは沼丘の意であるとされ,江戸時代には〈トウヤ湖〉とする記録があるものの,ウス沼と称される場合が多かったようである。
→関連項目虻田[町]有珠山カルルス[温泉]壮瞥[町]中山峠

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「洞爺湖」の意味・わかりやすい解説

洞爺湖
とうやこ

北海道南西部、内浦(うちうら)湾の近くにあるカルデラ湖。支笏(しこつ)洞爺国立公園の一中心。面積70.7平方キロメートル、周囲52キロメートル、水面標高84メートル、最深部179.7メートル。新生代第四紀初期から数次の火山活動で多量の溶結凝灰岩を噴出して陥没しカルデラ湖ができ、その後中央火口丘中島の噴出により現在のドーナツ型となった。火山活動は現在も継続し、外輪山を構成する有珠(うす)火山の大有珠・小有珠、昭和新山、明治新山(四十三(よそみ)山)などは近年の活動によって生じたものである。1977年(昭和52)8月7日の有珠山の活動は、火山地震、噴出した軽石や火山灰、雨による泥流によって周辺に多大の損害を与えた。噴出物は洞爺湖にも多量に降下し、透明度の高かった湖水も表面が真っ白に覆われた。

 湖畔には洞爺湖温泉、壮瞥温泉(そうべつおんせん)の両温泉があり、また中島には森林博物館があって、エゾシカが放牧されている。湖を一周する観光道路も整備されて年間約100万の観光客がある。湖の周辺は、道内でも有数の気候温和な所で、米作、果樹・野菜栽培、酪農の行われる農村地域が展開する。湖水は東部の火口壁を破って火口瀬(らい)となり、長流川(おさるがわ)に注ぎ、壮瞥、虻田(あぶた)の両発電所で利用されている。

[奈良部理]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「洞爺湖」の意味・わかりやすい解説

洞爺湖
とうやこ

北海道南西部,内浦湾の北東にある湖。貧栄養湖。直径約 10kmの円形に近いカルデラ湖で,面積 70.7km2,周囲 50km,最大水深 180m,最大透明度 10m,湖面標高 84m。カルデラ形成後,湖の中心部に中央火口丘の中島,南岸に有珠山 (732m) ,1944年には昭和新山 (402m) などの溶岩円頂丘が出現。不凍湖で湖中にはヒメマス,ウグイ,カジカなどが生息。7月上旬に湖水祭がある。湖岸に洞爺湖温泉,壮瞥温泉がある。 49年支笏湖とともに支笏洞爺国立公園区域に指定。

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事典 日本の地域遺産 「洞爺湖」の解説

洞爺湖

(北海道虻田郡洞爺湖町)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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事典・日本の観光資源 「洞爺湖」の解説

洞爺湖

(北海道有珠郡壮瞥町・虻田郡洞爺湖町)
日本百景」指定の観光名所。

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