洗心洞(読み)せんしんどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「洗心洞」の意味・わかりやすい解説

洗心洞
せんしんどう

もと大坂町奉行(まちぶぎょう)与力であり陽明学者であった大塩平八郎の書斎兼私塾の名。跡地は大阪市北区新川崎の造幣局官舎内にあり碑が立つ。洗心洞の洗心とは『易』繋辞(けいじ)上伝の「聖人此(これ)を以(もっ)て心を洗ひ、密(みつ)に退蔵す」に由来する。その学則である「入学盟誓書」や教学綱領である「学堂西掲」「学堂東掲」などが作成されたのが1825年(文政8)であることより、このころ私塾としての体裁を整えたものと思われる。塾生17~18名、門弟40~50名というが、その出身は大坂町奉行の役人と周辺農村の豪農層が多かったことが特色である。

[宮城公子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の洗心洞の言及

【大塩平八郎】より

…すなわち1827年(文政10)豊田貢(みつぎ)らのキリシタン類似の宗教を弾圧し,29年には四ヵ所非人と結んで不正を働いた西町奉行所筆頭与力弓削新右衛門を処断し,30年には破戒僧数十名を遠島の刑に処した。この年実徳が奉行を引退したため,みずからも与力職を養子格之助に譲って致仕し,与力時代から天満川崎四軒屋敷に開いていた家塾洗心洞で教学につとめた。中国の呂新吾の著作を読んで陽明学に志し,北宋の張横渠の影響をうけて政治刷新をふくむ独自の学風を築きあげた。…

※「洗心洞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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