洒落風(読み)しゃれふう

精選版 日本国語大辞典 「洒落風」の意味・読み・例文・類語

しゃれ‐ふう【洒落風】

〘名〙 松尾芭蕉没後門人宝井其角中心に、元祿一六八八‐一七〇四)の末から宝永一七〇四‐一一)ごろにかけて、主として江戸に流行した知的、都会的な俳諧流風芭蕉が幽遠・閑寂な景情一致の作風本位としたのに対して、奇抜な比喩やしゃれた趣向を喜び、理知的な都会趣味を凝らした。のち、この傾向は、沾徳・沾州によってますます助長された。
※俳諧・俳諧或問(積翠)(1803頃)「蕉門と号する輩も、洒落風浮世風抔いへる者も、ともに蕉翁の一流なるを」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「洒落風」の意味・読み・例文・類語

しゃれ‐ふう【×落風】

松尾芭蕉の没後、江戸を中心に榎本其角えのもときかくが始めた俳諧の流派。都会趣味で、しゃれ・奇抜・機知を主とする俳風。→化鳥けちょう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の洒落風の言及

【江戸座】より

其角(きかく)の伊達(だて)好みの俳風を受け継ぎ,快活で洒脱な都会的享楽ムードにあふれた江戸趣味の俳風で知られる江戸の俳人群。18世紀の初期,其角の門人沾徳(せんとく)の〈洒落風〉に,それから分派した沾洲の〈比喩体(ひゆてい)〉をも交えて大いに行われたが,奇警な趣向,卑俗な見立てに走りすぎたため,《五色墨(ごしきずみ)》(1731)などの批判をこうむり,しだいに衰えて明治時代にまで及んだ。【乾 裕幸】。…

【其角】より

…さしてもなき事をことごとしくいひつらね侍る〉(《去来抄》)と評された。元禄10年代,大名や富商の門に出入りし,作風も浮世的人事風俗や遊興的な作意に新しい展開を見せ,〈洒落(しやれ)風〉と称された。自撰の発句集《五元(ごげん)集》は,門人旨原によってまとめられた《五元集拾遺》とともに1745年(延享2)刊行された。…

※「洒落風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android