洋銀(外国貨幣)(読み)ようぎん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「洋銀(外国貨幣)」の意味・わかりやすい解説

洋銀(外国貨幣)
ようぎん

幕末維新期の貿易により日本に流入した外国貨幣。その大部分メキシコ・ドル(墨西哥(メキシコ)銀、略して墨銀(ぼくぎん)という)であったが、そのほかアメリカ、イギリス、フランス、プロイセン、蘭(らん)領インドなどの外国貨幣も洋銀のなかに含まれていた。江戸幕府は1859年(安政6)洋銀に「改3分」(金3分)の定印を打ち国内通用を認めた。当時、日本では銀貨に比べて金貨の価値が低く評価されており、国際的な金銀比価との調整ができていなかったので、外国商人は洋銀を持ち込んで日本の銀貨にかえ、これを金貨と交換して海外に盛んに輸出して莫大(ばくだい)な利益をあげた。幕府は1860年(万延1)に貨幣改鋳を実施し、金銀比価の不均衡を是正したので、日本の金貨の大量流出も阻止された。1871年(明治4)発行の1円銀貨はメキシコ・ドルとほとんど同一の品位・量目のものであった。

 中国では16世紀末ころから洋銀が流入し、19世紀には大量に国内流通するに至った。中国においても、洋銀の流入に対処するために銀円(銀元)が鋳造されたが、1935年の幣制改革まで洋銀の流通がみられた。

[作道洋太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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