法起寺(読み)ほうきじ

精選版 日本国語大辞典 「法起寺」の意味・読み・例文・類語

ほうき‐じ ホフキ‥【法起寺】

奈良県生駒郡斑鳩町岡本にある聖徳宗の本山。聖徳太子岡本宮を寺にしたと伝える。開基は山背大兄王。飛鳥建築の三重塔は現存最古。慶雲三年(七〇六)石銘で高さ二四メートル。国宝。ほっきじ。岡本寺。池後(いけじり)寺。

ほっき‐じ【法起寺】

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デジタル大辞泉 「法起寺」の意味・読み・例文・類語

ほっき‐じ【法起寺】

奈良県生駒郡斑鳩いかるが町にある聖徳宗の寺。山背大兄王やましろのおおえのおうが、聖徳太子の岡本宮を寺としたもの。法隆寺式の伽藍配置で、三重の塔は国宝。平成5年(1993)「法隆寺地域の仏教建造物」として世界遺産文化遺産)に登録された。岡本寺。池後いけじり寺。池後尼寺。ほうきじ。

ほうき‐じ〔ホフキ‐〕【法起寺】

ほっきじ(法起寺)

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日本歴史地名大系 「法起寺」の解説

法起寺
ほうきじ

[現在地名]斑鳩町岡本

岡本おかもと集落の南部にある。「ほっきじ」と読むが、近年「ほうきじ」に統一された。以前は地名により岡本おかもと寺、または池畔にあることから池後いけじり(池尻寺)とも称された。山号は岡本山、もと法相宗であったが、現在は聖徳宗に属する。本尊木造十一面観音(平安時代、国指定重要文化財)創建については、「聖徳太子伝私記」に引く法起寺塔露盤銘に

<資料は省略されています>

とある。正倉院文書のうちに岡本寺・岡本院の名のもとに古写経を多く収蔵していたことを明記し、「日本霊異記」には聖武天皇の時代に金銅仏一二躯が存在したことを記している。

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改訂新版 世界大百科事典 「法起寺」の意味・わかりやすい解説

法起寺 (ほっきじ)

奈良県生駒郡斑鳩町にある聖徳宗の寺。山号は岡本山。法隆寺の北東方,岡本集落の南部にあり,地名により岡本寺,池畔にあるので池後(いけじり)寺(池尻寺)とも称された。《上宮聖徳法王帝説》などによると,聖徳太子建立七ヵ寺の一つと伝え,606年(推古14)に太子が《法華経》を講説した岡本宮を,遺言により山背大兄王が寺に改めたという。その後638年(舒明10)に福亮僧正が金堂と弥勒像を造り,685年(天武14)に恵施僧正が堂塔の建立を発願し,706年(慶雲3)三重塔の露盤が完成した。当初は塔と金堂を東西に並立するいわゆる法起寺式伽藍配置で,奈良時代には金銅仏12体のほか,多数の仏教経典を所蔵した。1081年(永保1)官命によって塔の露盤銘文が写し取られ,1262年(弘長2)には初めて塔が修理されたが,14世紀中葉に塔をのこして金堂,講堂などが倒壊,以後寺勢振わず,1678年(延宝6)真政が堂塔を修理し,1715年(正徳5)碩峰が本堂と庫裏を再建した。1960-61年,68年の伽藍地発掘調査により,金堂,講堂,中門,南門の規模が判明した。高さ23.9m,現存最古最大の三重塔は国宝,本尊木造十一面観音立像(平安時代),銅造菩薩立像(飛鳥時代)は重要文化財に指定されている。
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百科事典マイペディア 「法起寺」の意味・わかりやすい解説

法起寺【ほっきじ】

奈良県斑鳩(いかるが)町岡本にある聖徳宗の寺で,岡本寺,池後(いけじり)寺とも。聖徳太子の建立と伝える。国宝の三重塔は706年完成とされ,平面の寸法や組物など法隆寺の五重塔と類似点が多く,飛鳥様式を伝えるものとして貴重。塔と金堂を東西に置く,いわゆる法起寺式伽藍(がらん)配置をとっていた。ほかに飛鳥時代の銅造菩薩立像がある。1960年―1961年,および1968年に発掘調査。
→関連項目斑鳩[町]三重塔法隆寺地域の仏教建造物

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「法起寺」の解説

法起寺
ほっきじ

池後(尻)(いけじり)寺・岡本寺とも。奈良県斑鳩(いかるが)町にある聖徳宗の寺。岡本山と号す。三重塔(国宝)露盤(ろばん)銘文によれば,聖徳太子の遺願により大和の田12町と近江の田30町を施入し,638年(舒明10)福亮(ふくりょう)が太子の岡本宮跡に金堂を建立し弥勒像を安置したという。685年(天武14)恵施(えし)が堂塔を整えた。法起寺式伽藍配置をもつ。飛鳥時代の銅造菩薩立像,平安時代の木造十一面観音立像はともに重文。境内は国史跡。

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旺文社日本史事典 三訂版 「法起寺」の解説

法起寺
ほっきじ

奈良県生駒郡斑鳩 (いかるが) 町,法隆寺の東北方にある古寺
「ほうきじ」とも読み,岡本寺ともいう。聖徳太子の岡本宮を白鳳時代ころに寺に改めたものといわれる。この寺の三重塔はわが国最大のもの。本尊は『十一面観音』。伽藍 (がらん) 配置は法隆寺式であるが,塔・金堂の配置が法隆寺と反対で塔が東にある。

法起寺
ほうきじ

ほっきじ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法起寺」の意味・わかりやすい解説

法起寺
ほっきじ

奈良県北西部斑鳩 (いかるが) 町にある法相宗の寺。「ほうきじ」,岡本寺ともいう。聖徳太子の遺命で,その子山背大兄王が岡本宮を改めて創建したもの。三重塔は飛鳥建築では日本最大で,国宝。

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