法定雇用率(読み)ホウテイコヨウリツ

デジタル大辞泉 「法定雇用率」の意味・読み・例文・類語

ほうてい‐こようりつ〔ハフテイ‐〕【法定雇用率】

障害者雇用率

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「法定雇用率」の意味・わかりやすい解説

法定雇用率
ほうていこようりつ

従業員数が一定以上の民間企業や国、地方公共団体などに対し、障害者雇用率制度によって義務づけられた、障害者雇用の最低比率。全従業員数に占める障害者数の割合で障害者雇用率を算出し、これが法定雇用率を下回らないようにする。障害者雇用促進法(正式名称「障害者の雇用の促進等に関する法律」昭和35年法律第123号)が1976年(昭和51)に改正され義務化された。障害者と健常者共生社会を実現するため、障害者雇用を義務化して就労による障害者の自立を促すねらいがある。法定雇用率は5年ごとに見直すことになっており、2023年(令和5)に、民間企業は従来の2.3%から2.7%に、国・地方公共団体・特殊法人などは2.6%から3.0%に、都道府県教育委員会は2.5%から2.9%へとそれぞれ引き上げられることが決定された。ただし引上げは段階的に実施され、2023年度中は2.3%に据え置かれ、2024年4月に2.5%、2026年7月から2.7%となる。国や地方自治体についても同様に2026年6月までは2.8%とされた。法定雇用率の適用範囲も従来の従業員43.5人以上から2024年4月に40.0人、2026年7月には37.5人以上の事業所へと広がる。法定雇用率を達成できないと、従業員100人を超える事業主の場合、1人不足するごとに原則月額5万円を国に納めなければならない。厚生労働省は2003年(平成15)から毎年、未達成で改善努力がみられない企業名を公表している。一方、法定雇用率を上回った従業員100人を超える事業所には超過障害者1人当り月額2万7000円の調整金(障害者雇用調整金)、100人以下の事業所には2万1000円の報奨金が支給される。厚生労働省はこの納付金と調整金・報奨金を組み合わせた「障害者雇用納付金制度」を活用し、事業主間の負担の公平を図ると同時に、障害者雇用率の引上げを目ざしている。

 法定雇用率の適用対象は当初身体障害者のみであったが、1997年(平成9)の法改正で知的障害者も対象となり、2018年度から精神障害者も対象となった。障害者雇用率の算出に際し、重度障害者は1人を2人分としてカウントする。また、短時間労働の障害者は1人を0.5人分として計算する。

 厚生労働省によると2022年6月時点で民間企業が雇用している障害者数は61万3958.0人、障害者雇用率は2.25%で、ともに過去最高となったものの、法定雇用率達成企業の割合は48.3%である。法定雇用率の引上げや精神障害者の雇用義務化は障害者の雇用促進につながる一方、作業設備の整備や介助施設の導入など民間企業の負担が重くなるとの指摘もあり、産業界からは助成・支援策の拡充を求める声が出ている。

[編集部 2024年2月16日]

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人事労務用語辞典 「法定雇用率」の解説

法定雇用率

「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」によって定められた割合。民間企業・国・地方公共団体に対し、それぞれの雇用割合が設けられており、それに相当する人数の身体障害者または知的障害者を雇用しなければなりません。
(2007/5/21掲載)

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

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