法定証拠主義(読み)ほうていしょうこしゅぎ(英語表記)Prinzip der gesetzlichen Beweisregeln

精選版 日本国語大辞典 「法定証拠主義」の意味・読み・例文・類語

ほうていしょうこ‐しゅぎ ハフテイ‥【法定証拠主義】

〘名〙 裁判官証拠によって事実認定するにあたり、一定の証拠があればかならずある事実を認定しなければならないとする主義裁判官の自由な判断にまかせる自由心証主義に対するもの。日本では自由心証主義を採用している。制限証拠主義。

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デジタル大辞泉 「法定証拠主義」の意味・読み・例文・類語

ほうていしょうこ‐しゅぎ〔ハフテイシヨウコ‐〕【法定証拠主義】

裁判での事実認定を行う際に、裁判官の証拠の評価において法律による判断基準を設けるという考え方。→自由心証主義

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法定証拠主義」の意味・わかりやすい解説

法定証拠主義
ほうていしょうこしゅぎ
Prinzip der gesetzlichen Beweisregeln

証拠能力あるいは証明力の評価を法律で規定し,裁判官の判断形成に拘束を加え,自由な評価を認めない主義。たとえば,契約の存在の認定には,必ず書証を必要としたり,一定数証言があれば必ず一定の事実を認定しなければならないとするもの。自由心証主義に対する。現行民事,刑事両訴訟法は,自由心証主義を採用している (民事訴訟法刑事訴訟法) 。

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世界大百科事典(旧版)内の法定証拠主義の言及

【自由心証主義】より

…フランス法の証拠の評価を裁判官の内的確信にゆだねる制度système de l’intime conviction,ドイツ法の自由な証拠評価の主義Prinzip der freien Beweiswürdigungに相当する語である。これに対し一定の証拠に特別の価値を認め,その証拠があるときは必ず一定の事実を認定しなければならないとか,一定の事実を認定するには一定の証拠が必要であるというように,法律によって裁判官の判断を拘束する制度を〈法定証拠主義〉と呼ぶ。 法定証拠主義は,歴史的には近世初頭における糾問手続の確立に伴って現れてきたもので,裁判官の資質にばらつきがあり,また社会生活が比較的単純小規模なうちは,裁判官の恣意的判断を防止し,合理的な事実認定を可能にするという利点をもっていた。…

【証拠】より

…刑事訴訟法318条,民事訴訟法247条)。一定の証拠がなければある事実を認定できないとし,あるいは,一定の証拠があれば必ずある事実を認定しなければならないとする法定証拠主義は,現行法の採るところではない。ただし,例外的に,自白の証明力は制限され,自白のみに基づいて有罪判決をすることはできない(憲法38条3項,刑事訴訟法319条2,3項)。…

※「法定証拠主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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