普及版 字通 「法(漢字)」の読み・字形・画数・意味
法
常用漢字 8画
(異体字)
21画
[字訓] のり・のっとる・てだて
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
正字はに作り、水+(たい)+去(きよ)。は神判に用いる神羊で(かいたい)、また豸(かいち)とよばれる獣の形。去は大+(きよ)の会意字で、大は人、は獄訟のとき自己詛盟した盟誓の器の、蓋(ふた)をとり去った形。敗訴者の盟誓は、虚偽として蓋をとり去って無効とされ、その人(大)と、またもともに水に投棄され、すべて廃される。金文に「(わ)が命を(はい)(廃)すること勿(なか)れ」のように、を廃の意に用いる。法はそのを省いた簡略字である。〔説文〕十上に「(刑)なり。之れをらかにすること水の如し。水に從ふ。は不直なるに觸れて之れを去らしむる以(ゆゑん)なり。去に從ふ」(段注本)とするが、去は敗訴者である。字の構造は、古代における神判の方法を示すもので、「大祓(おおはらい)」の方法と似ている。春秋のとき、伍子胥(ごししよ)が呉王夫差(ふさ)を諫めて、鴟夷(しい)(皮袋)に包んで海に投げこまれた話、越王につかえた蠡(はんれい)が、亡命して海上に逃れるとき、自ら鴟夷子皮と名を改めた話、孔子が斉を去るとき、世話になった田常の門に鴟夷を立てて去った話などがあり、その鴟夷は法による廃棄、また自己投棄、すなわち亡命を示す方法であった。のち法は刑法・法制の意となり、法式・法術の意となる。
[訓義]
1. のり、処刑として廃棄する、しおき、刑法。
2. のっとる、規範とする、典則とする、つね、みち。
3. ならう、かたどる、まもる。
4. てだて、しかた、方法。
5. かた、さだめ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕法 ノリ・ノトル・コトワリ・シケシ/法用 ミツクロヒス 〔字鏡集〕法 コトハリ・ホトリ・ノリ・ノトリ
[語系]
(法)piuap、廢(廃)piuatは声義近く、金文にを廃の意に用いる。はもと「廃棄」を意味する語であった。
[熟語]
法案▶・法意▶・法衣▶・法印▶・法宇▶・法会▶・法悦▶・法▶・法縁▶・法家▶・法科▶・法貨▶・法駕▶・法衙▶・法戒▶・法界▶・法外▶・法学▶・法官▶・法冠▶・法鐶▶・法紀▶・法規▶・法喜▶・法義▶・法儀▶・法魚▶・法禁▶・法偈▶・法刑▶・法兄▶・法憲▶・法元▶・法古▶・法故▶・法効▶・法傚▶・法座▶・法士▶・法師▶・法事▶・法式▶・法守▶・法酒▶・法術▶・法書▶・法署▶・法象▶・法帖▶・法縄▶・法制▶・法正▶・法政▶・法銭▶・法曹▶・法則▶・法俗▶・法体▶・法治▶・法誅▶・法廷▶・法庭▶・法程▶・法典▶・法度▶・法灯▶・法物▶・法文▶・法幣▶・法辟▶・法鞭▶・法方▶・法防▶・法網▶・法門▶・法友▶・法螺▶・法律▶・法令▶・法臘▶・法▶
[下接語]
依法・違法・遺法・王法・枉法・加法・苛法・科法・家法・画法・楷法・格法・技法・儀法・旧法・求法・拠法・句法・軍法・刑法・剣法・拳法・憲法・減法・厳法・古法・故法・護法・公法・弘法・抗法・合法・刻法・国法・酷法・骨法・作法・坐法・罪法・算法・司法・私法・施法・師法・諡法・手法・術法・峻法・遵法・醇法・書法・除法・峭法・商法・章法・常法・心法・真法・新法・人法・陣法・寸法・正法・成法・聖法・製法・設法・説法・戦法・宗法・創法・像法・大法・脱法・程法・適法・典法・徒法・如法・非法・秘法・筆法・百法・不法・仏法・文法・兵法・便法・方法・卜法・末法・妙法・民法・無法・明法・滅法・門法・薬法・用法・理法・六法・立法・律法・療法・礼法・暦法・論法・話法
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報