泊原発(読み)とまりげんぱつ

百科事典マイペディア 「泊原発」の意味・わかりやすい解説

泊原発【とまりげんぱつ】

北海道電力・泊原子力発電所。北海道古宇郡泊村。1〜3号機があり,1号機は1989年,2号機は1991年,3号機は2009年にそれぞれ運転を開始,いずれも加圧水型軽水炉であり,3号機はプルサーマル発電を計画している。2015年5月時点,1〜3号機ともに定期点検中で停止。2011年3月の福島第一原発事故後の安全対策として,北海道電力は移動発電機車を高台に導入し浸水防止策を検討しているとした。泊村としては,周辺町村・北海道知事と,津波対策の見直しを北海道電力に要請したが,他方,泊村は現状の安全対策のまま今後も運転継続できるという姿勢も示した。2013年7月に施行された原子力規制委員会の新規制基準では,過酷事故対策,地震・津波対策など設備の大幅な強化対策を厳しく要求している。さらに,泊原発の場合は1号機建屋近くの断層活断層であるか否かも焦点となる。新規制基準は活断層の真上にある原発を認めない方針。2013年7月原子力規制委員会は北海道電力の申請で,再稼働審査を開始したが,1号機2号機に関しては資料不備で審査を保留。北海道電力は資料を補正し申請しなおし,2014年4月原子力規制委員会は適合審査を再開した。3号機に関しては,2014年2月原子力規制委員会は新規制基準の適合審査で事故時の冷却装置が基準を満たしていないとの考えを提示配管の追加工事など改修工事を求め,さらに3月原子力規制委員会が3号機のある積丹半島西岸の地形に〈地震性隆起〉の可能性を指摘検証を進めるよう求めた。しかし地震の揺れの大きさである〈基準地震動〉が確定せず,審査は進んでいない。〈基準地震動〉を確定するには,積丹半島西岸の隆起が地震で出来たのか否か,また2008年の岩手・宮城内陸地震(マグニチュード7.2)と同規模の地震が泊原発周辺で起きた際の揺れの大きさなどを詰める必要がある。北海道電力は〈隆起は地震で起きたものではない〉などと説明,原子力規制委員に資料を提出したが,原子力規制委員会の納得は得られず,より詳しく調べるよう再三,指示されている段階である。2014年4月北海道電力は泊原発が稼働できないため火力発電の燃料費が円安影響で値上がりして経営悪化債務超過に陥る恐れがあるとして,日本政策投資銀行に500億円の資本支援を要請した。再稼働は2015年4月時点でも見通せていない。
→関連項目大飯原発泊[村]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android